企業のYouTubeチャンネル運営において、メンバーシップの導入を検討されている方も多いのではないでしょうか?
月額課金による安定収益やファンとの関係強化など、魅力的なメリットがある一方で、慎重な判断が必要な部分もあります。
本記事では、企業がYouTubeメンバーシップを始める際に知っておくべき点をまとめました。
基本的な仕組みから、メリット・デメリット、具体的な手順まで詳しく解説するので、ぜひ最後まで読んでお役立てください。
目次
YouTubeのメンバーシップ(正式名称:チャンネル メンバーシップ)は、視聴者向けの月額課金制サービスです。視聴者は毎月一定額を支払うことで、限定コンテンツの視聴や特別なコミュニティへの参加といった特典を受け取れます。
企業アカウントでは、商品やサービスの情報の先行公開や開発秘話の配信、イベント開催など、コアファンに向けたコンテンツを提供できます。
メンバーシップの基本特典は、コメント欄に表示されるメンバーシップ専用バッジです。動画のコメント欄やライブ配信のチャットで、メンバーであることを示すバッジが表示されるようになり、コアファンの存在が可視化されます。
また、メンバーのコメントは5分間チャット欄の上部に固定表示されるため、企業側が返信しやすく、ファンと会話がしやすい仕組みです。
さらに、基本特典に加えて、以下のような独自特典を追加できます。
これらの特典をいかに充実させて、独自の価値を生み出せるかがメンバーシップ成功のポイントです。
メンバーシップの月額料金は、90円から60,000円の範囲で設定できます。個人クリエイターは、月額490円前後に設定する場合が多いです。
しかし、企業アカウントの場合は、相場を気にせずに提供価値に応じて価格設定することをおすすめします。
最大6つまでプランを作成できるため、まずは低めの価格で開始し、コンテンツの充実度に応じて引き上げていくのも一つの方法です。
メンバーシップの支払方法には、下記の選択肢があります。
YouTubeが用意している支払方法から、視聴者が選ぶ仕組みです。企業側で支払方法の追加・制限はできませんが、安全な決済環境が整っています。
また、定期的な支払い処理やキャンセル対応もYouTubeプラットフォームが自動で対応するため、運営側の手間はかかりません。
企業アカウントでメンバーシップを開始するには、4つのステップを順番に進めていく必要があります。
ここでは具体的な手順を見ていきましょう。
メンバーシップを開始するには、まずYouTubeパートナープログラム(YPP)に参加する必要があります。YPPとは、YouTubeで収益化を可能にする公式プログラムで、広告収入を得るために不可欠です。
YPPに参加するには、チャンネル登録者数が500人以上で、直近 90 日間にアップロードした有効な公開動画が 3 本以上あることに加え、下記いずれかの条件を満たさなければなりません。
また、メンバーシップを開始するには、主に子供対象のコンテンツを発信していない、利用規約に違反していない点が求められます。
ただし、この条件ではYouTubeの広告収入を受け取れません。詳細な条件は下記をご確認ください。
>>YouTubeの広告収益はいくら?仕組みや条件、稼ぐためのコツを解説
メンバーシップの条件を満たしたら、YouTube Studioにログインし、左メニューから「収益化」を選択します。
この際に企業アカウントでブランドアカウントを作成した上で、ログインすることをおすすめします。
>>YouTubeのブランドアカウントにデメリットはある?メリットや注意点を解説
メンバーシップのタグから、下記の設定を進めます。
メインはメンバーシップの特典内容です。テンプレートが用意されているため、特典内容を考えやすくなっています。
提供する特典を選択し、詳細説明を記載していきます。選択形式ですが、独自特典を提供したい場合はカスタム特典から設定しましょう。
特典内容を設定したら、審査に申し込みます。メンバーシップ特典が「審査中」のステータスになりますが、この間にメンバーバッジの設定や告知文・挨拶文の作成を進められます。
特典内容の審査結果は24時間以内にメールで通知されます。審査に通過したら、有効ボタンを押すとメンバーシップを開始できます。
企業がYouTubeのメンバーシップを始めるメリットは、以下の通りです。
それぞれ確認しましょう。
メンバーシップの最大の特徴は、月額課金による定期的な収入が見込めることです。
例えば、月額490円のメンバーシップを100名集められると、月49,000円(手数料30%を除くと約34,000円)の収入です。1,000名では月49万円(手数料除く約34万円)と、一定規模の収益が期待できます。
広告収入は再生数に左右されやすい一方、メンバーシップ収入は継続的に発生するため、安定した収益構造を構築できます。
メンバーシップでは、限定コミュニティの特別な場で視聴者と交流できます。限定動画の公開や早期アクセス権の提供により、メンバーに特別感を感じてもらえるほか、双方向のコミュニケーションが活発になります。
このような密な交流を通じて、ブランドへの信頼や愛着を育むことが可能です。例えば、商品の開発過程を限定公開したり、メンバー限定で商品についての質問を受け付けたりすれば、ファンとの関係性をより深められます。
メンバーシップは、質の高いマーケティングデータを収集できる場としても活用できます。
コミュニティ投稿を使って反応やコメントをもらうことで、コアファンの興味関心を詳しく分析できます。ライブ配信では、商品やサービスについての生の声を直接集められる点もメリットです。
特に、商品開発において、メンバーからのフィードバックは貴重な情報源です。
化粧品ブランドの場合、使用感のレビュー、アパレルであれば着用時の感想など、通常の市場調査では得られにくい意見を収集できます。
企業がYouTubeのメンバーシップを始める際は、以下の点に気をつけることが大切です。
メンバーシップは魅力的な収益化の手段に見えますが、実際には大きな収益は期待できません。
月額490円(税込)のメンバーシップを1,000名集めても、毎月の売り上げは49万円です。
しかも、チャンネル登録者の1%がメンバーになると想定しても、1,000名集めるためには10万人以上のチャンネル登録者が必要です。
また、収益の30%がプラットフォーム手数料として差し引かれます。そのため、収益化だけを目的としたメンバーシップの導入は避けるべきです。
メンバーシップを始めると、通常のチャンネル運営に加えて、メンバー限定のコンテンツも制作しなければなりません。
一般公開用の動画とは別に、メンバー向けの特別なコンテンツを定期的に提供する必要があるため、制作チームの負担は倍増します。
コンテンツの品質も求められるため、運営体制の見直しが不可欠です。特に、企業の場合は、発信できるコンテンツの内容に個人よりも制限があるため、企画段階から調整する必要があります。
月額課金制のメンバーシップは、一度開始すると簡単に中止できません。継続的な課金をいただくサービスであるため、メンバーの責任として安定したコンテンツ提供が求められます。
そのため、長期的な企画の立案と実現するための予算を確保しましょう。企業として責任あるサービス提供が求められるため、運営体制を整えてからスタートすることが推奨されます。
多くの企業にとって、YouTubeメンバーシップの導入は現実的ではありません。コンテンツ制作の負担や運営の大変さなど、課題が多いためです。
ただし、企業内の専門家やインフルエンサーなど、個人の発信力を活かせる場合は検討の余地があります。
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