YouTubeチャンネルを運営する際に「広告収入」を目的とする方は少なくありません。
しかし、1再生あたり0.003円〜0.7円の収益を考えると、果たして正しい選択と言えるのでしょうか。
本記事では、YouTube広告の仕組みと収益の実態をまとめた上で、より効果的なYouTube活用の方法を紹介します。
特に企業でYouTube運営をしている方やこれからチャンネル立ち上げを検討している方は、ご参照ください。
目次
YouTubeの広告収入は、通常の動画の場合、1再生あたり0.05円〜0.7円と言われており、実に14倍もの開きがあります。
仮に、1つの動画で1ヵ月で5,000再生した際に入る広告収入は、最小で0.05円×5,000再生=250円、最大で0.7円×5,000再生=3,500円です。
ただし、この金額は1回の再生に1つの広告が表示された場合の単純計算です。実際の収益は、動画の長さ(8分以上で中間広告が設定可能)や広告の種類、設定数によって変動します。
一方で、YouTubeショート動画の広告収入は1再生あたり0.003円~0.01円程度で、さらに単価が下がります。
そのため、どうにかして再生数を増やさないと安定した収益につながりません。一般企業のチャンネルは、エンターテインメント性の高い個人チャンネルと比べて再生数を伸ばしにくく、収益化は困難です。
▼YouTubeの広告収入が入る仕組み
YouTubeの広告収入は、視聴中のコンテンツや視聴者の興味に関連した広告が表示される仕組みです。料理動画なら調理器具、ゲーム実況ならゲーム関連といったように、コンテンツに合わせた広告が表示されます。
視聴者が広告をクリックしたり、一定秒数以上視聴したりすると、広告主がYouTubeに広告料を支払います。YouTubeはその広告料から手数料(約45%)を差し引き、残りの金額(約55%)を動画投稿者に支払う方式です。
このような仕組みで、動画投稿者はYouTubeで広告収入を受け取れます。
ただし、広告収入を得るためには「YouTube パートナー プログラム」に参加するなどの条件がいくつか必要です。
YouTubeの広告収入の単価を上げるには、以下の方法があります。
収入を上げる上で単価アップは大切です。それぞれ見ていきましょう。
広告単価が高いとされるジャンルは、金融や不動産、健康、美容、ビジネス、IT、ガジェットなどです。これらのジャンルは、視聴者の購買単価が高く、商品やサービスの利益率も高いため、広告の1再生数あたりの単価も高くなります。
つまり、広告主がその動画を見ている視聴者を潜在的な顧客として高く評価します。子供ではなく、購買力のある社会人をターゲットにしましょう。
視聴者が最後まで動画を見てくれることが、広告収入を上げる重要なポイントです。
視聴者の離脱が少なく、高い視聴継続率を維持できれば、YouTubeのアルゴリズムからも良質なコンテンツとして評価されます。
良質なコンテンツは、広告主に「視聴者にリーチしやすい価値ある枠」とみなされ、単価の高い広告が表示される可能性が高まります。
また、ほかの視聴者へのおすすめ表示が増えるため、結果的に再生数もアップしやすいです。
そのためには、冒頭で視聴者の興味を引く、視聴者が求める情報をしっかり提供するなどの点が大切です。
企業チャンネルでは、商品やサービスの情報を一方的に伝えるのではなく、視聴者目線で価値ある情報を提供することを意識しましょう。
YouTubeの広告収入を得るには、以下の条件を満たす必要があります。
3つともクリアすることが条件なのでチェックしてください。
YouTubeパートナープログラム(YPP)とは、YouTubeクリエイターが動画で収益を得るための公式プログラムのことです。このプログラムに加入すると、YouTubeに広告配信ができるようになり、再生回数に応じた収益を受け取れます。
加入条件は、チャンネル登録者数1,000人以上と、以下のいずれかを満たす必要があります。
条件をクリアしたら、YouTube Studioから申請が可能です。申請から承認までは通常1ヶ月程度かかり、その間にコンテンツやチャンネルの審査がされます。
YouTubeパートナープログラム(YPP)に加入した後、広告収入を得るためにはGoogle AdSenseアカウントの申請と審査通過が必要です。AdSenseは広告収入を管理・受け取るための重要なプラットフォームです。
AdSenseアカウントを作成するには、YouTube Studioから収益化設定を開き、画面の指示に従って必要事項を入力します。この際、本人確認書類の提出や支払い情報の登録なども必要です。
既存のAdSenseアカウントを持っている場合は、そのアカウントをYouTubeチャンネルとリンクさせることになります。
AdSenseアカウントは、1ユーザーにつき1つまでしか所有できません。複数のYouTubeチャンネルを運営している場合は、すべての収益を1つのAdSenseアカウントに集約されます。
万が一、AdSenseの審査に落ちても再度申請ができます。コンテンツ内容を見直して、再チャレンジしましょう。
YouTubeで広告収入を得るには、コミュニティガイドラインを遵守し続ける必要があります。例えば、収益化が認められた後でも、ガイドライン違反があると収益化の権限を失う恐れがあります。
主な違反コンテンツは、以下のようなものです。
YouTubeの違反に対する制裁措置は、段階的に実施されます。まず、事前警告が出されたら、ポリシーに関するトレーニングを受けることで、警告が取り消されます。
しかし、事前警告を受けた後に再度違反すると、動画投稿などの機能が一時的に制限される点に注意してください。さらに、9日間以内に3回の違反を受けると、チャンネルが完全に削除されてしまいます。
一度削除されたチャンネルは復活できないため、ガイドラインの理解と遵守は非常に重要です。企業チャンネルを運営する際は、ガイドラインを共有し、投稿前のチェック体制を整えることをおすすめします。
>>YouTube のコミュニティ ガイドラインの違反警告に関する基礎知識
YouTubeの広告収入だけで採算を取るのは、以下の理由から困難です。
YouTubeの運営を継続するには、撮影代や動画編集などのコストがかかるため、収益を立てる必要があります。
個人・法人関わらず、再生数を大きく取ることは難しいと言えます。その理由は、YouTubeの動画投稿数が急増し、レッドオーシャン化し、視聴者の注目を集めることが年々困難になっているからです。
特に、企業チャンネルは商品・サービス関連の内容が中心となるため、エンターテインメント性の高い個人チャンネルと比べて再生数が伸びにくい状況です。
YouTubeはマーケティング理論でいう成熟期に入っており、参入者の増加により広告単価は下落傾向にあります。導入期・成長期に比べ、広告主の予算が分散され、1再生あたりの単価は低下しています。
特に子供をメインターゲットとしたエンターテインメント系のジャンルでは、広告単価の下落が顕著です。
また、近年のYouTubeショート動画の台頭により、通常動画の視聴時間が減少傾向にあります。ショート動画の広告単価は通常動画よりもさらに低いため、全体的な収益性は下がる一方です。
このような市場環境の変化により、以前より多くの再生数を獲得しても、得られる収益は減少傾向にあります。
YouTubeで収益化するには、以下の3つの方法があります。
広告収入だけでなく、複数の収益源を組み合わせると、より安定した収益化ができるようになります。
広告収入以外に、YouTubeのシステムを通じて得られる収益はあります。
YouTubeプレミアム収入 | 有料会員の視聴時間に応じた収益配分 |
YouTube ショート ファンド | ショート動画のクリエイター支援制度 |
どの方法も再生数や視聴時間に大きく依存するため、安定的な収益を得るのは容易ではありません。
視聴者から直接的に支援を受けられる方法も存在します。
スーパーチャット(スパチャ) | ライブ配信時のチップ機能。スパチャ金額の50%〜70%を受け取りできる |
チャンネルメンバーシップ | 月額制の会員サービス。収益の約70%を報酬として受け取れる |
スーパーステッカー | ライブ配信での装飾付きメッセージ。収益配分率は70% |
スーパーサンクス | 通常動画でのチップ機能。投げ銭の70%が収益として支払われる |
広告収益よりも高額ですが、熱心なファン層の形成が必要です。視聴者と強い関係性を築けている場合に効果的と言えます。
自社もしくは他社の商品販売を狙って、YouTube上で情報を発信する方法です。
自社商品の販売 | 自社の商品やサービスを動画で紹介し、購入につなげる方法 |
他社商品の販売 | アフィリエイト報酬として、他社商品の紹介料を得る方法 |
それぞれ、視聴者に価値ある情報を提供しながら商品やサービスを紹介することで、より効果的な販売につながります。
特に自社商品の販売は、ニッチな分野でも収益化が可能です。再生数やチャンネル登録者数が少なくても、興味関心の高い視聴者に対して商品をアピールできれば、売上につながります。
そのため、企業のYouTubeチャンネル運営では、自社商品の販売を目的とすることをおすすめします。
YouTubeの広告収入は1再生あたり0.003円〜0.7円と非常に低く、莫大な再生数を狙わないと満足のいく結果は得られません。動画制作にかかるコストを考えると、広告収入だけでの採算は取りづらいです。
特に、企業チャンネルは収益化できないと運営を存続させるのが難しくなるため、本業に直結する目的で活用することをおすすめします。
自社商品の販売であれば、商品単価が高いほど少ない成約数でも採算が取れるようになります。地道な動画投稿を通じて、興味関心の高い見込み客を獲得していきましょう。
YouTube運営にお困りの方は、ぜひ無料相談会にご参加ください。