祖父江聡士

AIありきではなく、課題ありきの本質的な支援

AI活用の支援を得意としていますが、私が最初に必ず確認するのは「その課題、本当にAIが必要であるか」ということ。実際、相談案件の3割程度は既存ツールやExcelマクロで十分解決できます。

多くのコンサルタントが最新技術の導入を急ぐ中、私はあえて立ち止まります。なぜなら、中小企業の限られたリソースでは、失敗が許されないから。課題の本質を見極め、最も費用対効果の高い解決策を選ぶ。時にはAIを使わない勇気も必要です。

特に重視するのは、導入後の持続性。一時的な効率化ではなく、組織に根付き、成長し続けるシステムを作ること。この視点が、私の支援の核となっています。

 

既存フローを尊重し、段階的に理想へ導く

SaaSの開発責任者としての経験やこれまでの支援から学んだのは、どんなに優れたシステムも、現場が使わなければ意味がないということ。プロジェクト失敗の半分以上は、技術以外が原因です。

そこで私は、既存の業務フローを無理に変えません。まず「タスクは小さく、インパクトは大きい」作業から始めます。毎日・毎週必ず発生する定型作業を少しだけ楽にする。この小さな成功体験の積み重ねが、現場の協力を引き出します。

現場が「もっと効率化したい」と言い始めたら、より本格的な改革へ移行します。最初から理想を押し付けるのではなく、小さな改善を重ねながら、自然と理想的な業務フローに近づけていく。このアプローチが、組織に無理なく定着します。

ただし、AIの限界は最初から正直に伝えます。AIは万能ではありません。ハルシネーション（もっともらしい誤情報の生成）のリスクがあるため、契約書作成や財務分析など確実性が必要な業務では、必ず人間のチェックを入れます。過度な期待を持たせないことが、長期的な信頼関係につながります。

AI Agent時代を見据えた、今やるべきこと

小さな効率化の積み重ねが、将来のデータ資産になる

段階的な業務効率化には、もう一つ重要な効果があります。日々の改善活動を通じて、散らばっていた業務データが自然と構造化され、蓄積されていくことです。

現在、多くの企業ではExcelファイルが乱立し、顧客情報は統一されておらず、重要な知識は個人の頭の中にあります。しかし、小さな自動化を進める過程で、これらが徐々に整理され、AI Agentが理解できる形に変わっていきます。

2025年の今、AI Agentが本格的に業務を担う時代が始まろうとしています。今から始める地道な改善が、将来の重要なデータ資産となり、競争力の源泉になります。人間がやるべき仕事と、AI Agentに任せる仕事の線引きも、実践の中で明確になっていきます。

最後に

「できないことはできない」「リスクはリスク」として伝えます。甘い期待は持たせません。正直さが、結果的にプロジェクトの成功率を高めます。

私の役割は、御社の業務を理解し、本当に必要な部分だけをデジタル化し、組織に定着させること。そして、来たるAI Agent時代に向けたデータ基盤を整えること。

技術選定から実装、組織への定着、将来を見据えたデータ整理まで一貫して支援します。まずは御社の課題をお聞かせください。AI導入の是非も含めて、率直にご提案します。

 

経歴

2019年3月：東京大学大学院 機械工学系研究科 修了

2019年4月：ストックマーク株式会社（AI SaaS事業）

2021年7月：株式会社プレイド（マーケティングSaaS開発責任者）

2024年9月：AI・DXコンサルティング会社を創業

2024年10月：StockSun認定パートナー