パーソナルジムの集客を加速させるために、LP(ランディングページ)の制作を検討しているオーナーやマーケティング担当者は少なくありません。しかし、「LPを作ればお客様が増える」と安易に考えて制作に着手すると、期待した成果が得られないケースが多いのが現実です。
実際にパーソナルジム業界では、リスティング広告のCPA(顧客獲得単価)が高騰し続けており、広告の受け皿となるLPの品質が集客成果を左右する時代に入っています。一方で、LP単体の改善だけでは解決できない課題も存在します。事業の根幹となるターゲット設定や価格設計が適切でなければ、どれだけ優れたLPを制作しても集客は安定しません。
本記事では、パーソナルジムのLP制作に必要な構成要素から、制作手順、費用相場、公開後の改善方法、さらには集客の根本課題を解決する事業設計の考え方まで、一気通貫で解説します。LP制作を検討している方はもちろん、すでにLPを運用しているが成果が出ていない方にも、具体的な改善の糸口をお伝えします。
目次

パーソナルジムの集客において、LPは「広告から流入したユーザーを確実にコンバージョン(体験予約や問い合わせ)へ導くための専門ページ」として機能します。ホームページとは明確に異なる役割を持っており、その違いを正しく理解することがLP制作の第一歩になります。
ホームページとLPは、一見すると同じ「Webページ」ですが、目的と設計思想がまったく異なります。
| 項目 | ホームページ | LP(ランディングページ) |
|---|---|---|
| 目的 | 情報提供・ブランド認知 | 特定アクションへの誘導 |
| ページ数 | 複数ページ構成 | 1ページ完結 |
| ナビゲーション | メニュー・リンク多数 | 最小限(離脱防止) |
| 流入経路 | 検索・直接アクセス | 広告・SNSからの誘導 |
| ターゲット | 幅広い訪問者 | 特定ニーズの見込み客 |
| コンバージョン | 問い合わせ・資料請求等 | 体験予約・無料カウンセリング |
| 更新頻度 | 定期的に全体を更新 | キャンペーンに合わせて差し替え |
ホームページはジムの総合案内板であり、既に興味を持っている人がさまざまな情報を確認するために訪れるページです。一方でLPは、広告をクリックした「まだ興味が薄い人」を「体験に来てみたい」と思わせるための説得力のあるページとして設計されています。
パーソナルジムの場合、料金が数十万円に達するケースも多く、LPだけで契約に至ることはほとんどありません。LPの本来の目的は「無料体験」や「カウンセリング」への申し込みを獲得し、実際に来店してもらうことにあります。この目的を見失ったLP制作は、高い費用をかけても成果に結びつきにくくなるでしょう。
パーソナルジムにおけるLP導入の効果を理解するために、広告からの集客フローを整理しましょう。
LP未導入の場合の集客フロー:
LP導入後の集客フロー:
LPを導入することで、ユーザーが広告をクリックしてから体験予約に至るまでの「導線」が一本化されます。ホームページのように複数のリンクや情報が並んでいると、ユーザーは迷いが生じて離脱しがちです。LPでは余計なリンクを排除し、1つのゴール(体験予約)に向かって情報を整理して提示するため、コンバージョン率の向上が期待できます。
Unbounce「Conversion Benchmark Report 2024」によると、業界を問わずLPの中央値CVR(コンバージョン率)は約6.6%とされています。パーソナルジムのLPではこの水準を目指しつつ、自社の商圏やターゲットに最適化していくことが重要です。

LP制作で最も重要なのは「何をどの順番で伝えるか」という構成設計です。パーソナルジムのLPで成果を出すために欠かせない7つの構成要素を解説します。
ユーザーがLPを開いて最初に目にする画面領域を「ファーストビュー」と呼びます。この領域でユーザーは約3秒以内に「このページを読み続けるかどうか」を判断するとされています。つまり、ファーストビューの出来がLP全体の成果を決定づけるのです。
ファーストビューに配置すべき要素:
キャッチコピーの作り方として効果的なのは、「誰に向けた」メッセージかを明確にすることです。「2ヶ月で-10kgへ導く」という数値訴求よりも、「運動が苦手な30代女性のための完全個室パーソナルジム」のようにターゲットを絞った表現のほうが、該当ユーザーの心に刺さります。
パーソナルジムは大手チェーンも多いため、個人経営のジムが差別化するためには「自社だけが持つ独自のメリット」をファーストビューで明確に打ち出すことが不可欠です。
構成要素2: 悩み共感パート
ファーストビューの次に配置すべきは、ターゲットユーザーが抱えている悩みや課題を言語化するセクションです。「こんなお悩みはありませんか?」という問いかけ形式で、ユーザーの心理に寄り添います。
悩みへの共感を示した上で、「そのお悩み、当ジムが解決します」という流れでサービス紹介へとつなげましょう。
構成要素3: サービス紹介・強み訴求
ジムの特徴やメリットを3-5つ程度に絞り込んで提示します。すべてを網羅するのではなく、ターゲットにとって最も価値のあるポイントに焦点を当てることが大切です。
構成要素4: ビフォーアフター事例とお客様の声
LPにおいて最も説得力のあるコンテンツは、実際の成果を示すビフォーアフター事例と利用者の声です。写真だけでなく、具体的な数値(体重・体脂肪率の変化)や、利用者自身の言葉で語られた感想を添えることで信憑性が高まります。動画形式のお客様の声は特に効果的でしょう。
構成要素5: トレーナー紹介
パーソナルジムはトレーナーの質がサービスの根幹です。資格、経歴、指導方針に加えて、人柄が伝わる写真やメッセージを掲載することで、ユーザーは「この人に指導してもらいたい」という安心感を得られます。
構成要素6: 料金プランの明示
料金を隠すLPは離脱率が高くなります。「料金がわからないから問い合わせもしない」というユーザー心理を理解し、コースごとの料金を明確に提示しましょう。月額払い・分割払いなど、支払い方法のバリエーションも記載すると安心感につながります。
構成要素7: CTA(コール・トゥ・アクション)の最適配置
CTAボタンは「無料体験を予約する」「まずは相談してみる」等、ユーザーの行動を促すボタンです。LPの中に3-5箇所配置することが推奨されます。
CTAボタンのデザインは、ページ内で最も目立つ色(コントラストの高い色)を使用し、ボタン内のテキストは「送信」ではなく「無料体験に申し込む」のように具体的なアクションを示す文言にすると効果的です。
7つの構成要素を単に並べるだけでは成果は出ません。重要なのは、ユーザーの心理の流れに沿って各要素を配置する「導線設計」です。
推奨するLP導線:
| 順序 | セクション | ユーザー心理 |
|---|---|---|
| 1 | ファーストビュー | 「自分に関係のあるページだ」 |
| 2 | 悩み共感 | 「まさにこの悩みを抱えている」 |
| 3 | 解決策提示 | 「このジムなら解決してくれそう」 |
| 4 | ビフォーアフター | 「実際に結果が出ているのか」 |
| 5 | お客様の声 | 「他の人も満足しているなら安心」 |
| 6 | トレーナー紹介 | 「この人なら信頼できそう」 |
| 7 | 料金プラン | 「この金額なら検討の余地がある」 |
| 8 | FAQ | 「残っていた疑問が解消された」 |
| 9 | CTA | 「体験を申し込んでみよう」 |
この導線は「AIDMA」や「PASONA」といったマーケティングフレームワークに基づいています。ユーザーの心理状態を段階的に「認知→興味→欲求→行動」へと導くことで、自然な形でコンバージョンにつなげられます。

実際にLPを制作する際の具体的なステップを解説します。LP制作は「企画→設計→制作→公開」の4フェーズで進めるのが基本です。
LP制作で最初に取り組むべきは、ターゲットユーザーの明確化です。「誰に向けたLPなのか」が曖昧なまま制作を進めると、誰の心にも刺さらないページになってしまいます。
ペルソナ設定で明確にすべき項目:
ペルソナが明確になれば、キャッチコピーの方向性、メインビジュアルの選定、料金プランの見せ方など、すべての要素に一貫性が生まれます。
ここで重要なのは、LP制作の前段階として「そもそもこのターゲットが自ジムの商圏に十分存在するか」を検証することです。ターゲットが存在しない商圏にいくら広告を出しても集客は見込めません。この検証プロセスが、いわゆる「事業設計(モデリング)」の一部であり、LP制作の成否を左右する重要なステップとなります。
ターゲットとペルソナが決まったら、以下の5ステップでLP制作を進めます。
ステップ1: ワイヤーフレーム作成
ワイヤーフレームとは、LPの構成をざっくりとした線画で設計する「設計図」です。各セクションの配置、テキスト量、画像の位置をラフに決めていきます。この段階ではデザインにこだわらず、情報の順序と量のバランスを整えることに集中しましょう。
ステップ2: コピーライティング
ワイヤーフレームに沿って、キャッチコピー・ボディコピー・CTAテキストを作成します。ターゲットの悩みに寄り添いつつ、自ジムの強みを具体的な数値やエピソードで裏付けることが求められます。
ステップ3: デザイン制作
コピーが固まったらデザインに入ります。パーソナルジムのLPでは、清潔感と活力を感じるデザインが効果的です。使用する写真は自ジムのオリジナル写真を用意しましょう。フリー素材のストック写真では信頼性が損なわれます。
ステップ4: コーディング・実装
デザインをWebページとして実装します。この段階ではスマートフォンでの表示確認が特に重要です。パーソナルジムのLPはスマートフォンからのアクセスが大半を占めるため、スマホでの見やすさ・操作しやすさ(レスポンシブデザイン)は欠かせない条件となります。
ステップ5: 公開・動作確認
公開前にフォームの送信テスト、各デバイスでの表示確認、読み込み速度のチェックを行います。特にCTAボタンからのフォーム送信が正常に機能するかは、漏れなくテストしてください。
多額の費用をかけてLPを制作しても、よくある失敗パターンに陥ると成果は出ません。競合分析から判明した典型的な失敗事例を解説します。
ジムの魅力を伝えたいあまり、あれもこれもとコンテンツを詰め込みすぎるのは、よくある失敗の一つです。LPは「すべてを伝えるページ」ではなく、「ターゲットが行動を起こすために必要な最小限の情報を、最適な順序で提示するページ」です。
失敗例:
改善策:
失敗パターン2: CTAボタンが目立たない・わかりにくい
CTAボタンが周囲のデザインに埋もれている、ページの最下部にしか設置されていない、ボタンのテキストが「送信」や「こちら」のような曖昧な表現になっている場合、コンバージョン率は大きく低下します。
失敗パターン3: スマートフォン対応が不十分
スマートフォンで閲覧した際にテキストが小さい、ボタンが押しにくい、画像がはみ出す等の問題があると、せっかく広告費をかけて流入させたユーザーをすぐに失うことになります。
失敗パターン4: ターゲットが不明確
「20代-60代の男女すべて」をターゲットにしたLPは、結果として誰にも刺さりません。特定のペルソナに絞り込むことで、そのペルソナに該当するユーザーの申し込み率は格段に高くなります。
失敗パターン5: 制作して終わり(改善を行わない)
LPは制作して公開した時点が「スタート」です。にもかかわらず、公開後に一切の分析・改善を行わないジムが多いのが実態といえます。LP公開後のLPO(ランディングページ最適化)については後述します。
LP制作の費用は、制作方法と依頼先によって大きく異なります。予算に応じた最適な選択肢を比較します。
LP制作の費用相場として、業界では平均発注金額が50万円台、中央値が40万円前後とされています。以下に予算別の制作方法を整理します。
| 予算帯 | 制作方法 | メリット | デメリット | 制作期間 |
|---|---|---|---|---|
| 無料-5万円 | テンプレートツール (ペライチ、STUDIO等) |
低コスト、自分で更新可能 | デザインの自由度が低い 差別化が難しい |
数日-1週間 |
| 10-30万円 | フリーランスに依頼 | コスパが良い 柔軟な対応 |
クオリティにばらつき サポート体制が薄い |
2週間-1.5ヶ月 |
| 30-60万円 | 中小制作会社に依頼 | 戦略設計込み オリジナルデザイン |
一定の予算が必要 | 1-2ヶ月 |
| 60万円以上 | 大手・専門制作会社に依頼 | LPO運用込み 高品質・実績豊富 |
費用が高い 小回りが利きにくい |
2-3ヶ月 |
個人経営のパーソナルジムの場合、最初から大きな予算をかける必要はありません。まずは10-30万円程度で基本的なLPを制作し、広告運用のデータを見ながら改善を重ねていく方がリスクが低く、結果的にコストパフォーマンスが高くなります。
LP制作を外注する際、制作会社選びで失敗しないための見極めポイントを3つ解説します。
ポイント1: パーソナルジム業界の実績があるか
一般的なLP制作実績だけでなく、パーソナルジムやフィットネス業界での制作実績があるかを確認しましょう。業界特有のユーザー心理やCV導線を理解している制作会社は、成果の出るLPを設計できます。
ポイント2: 制作後の運用支援があるか
LP制作だけで終わりではなく、公開後のA/Bテストやデータ分析、改善提案まで対応してくれるかどうかは重要な判断基準です。LPは「作って終わり」ではなく「作ってからがスタート」といえます。
ポイント3: マーケティング戦略からの提案ができるか
単にデザインを制作するだけではなく、ターゲット選定・広告運用・コンバージョン設計といったマーケティング全体の戦略から提案できる制作会社を選ぶべきです。デザインの美しさよりも、成果につながる構成設計のほうがLPの価値を決定づけます。
LPを公開した後は、広告との連携と継続的な改善が不可欠です。LP公開がゴールではなく、ここからがPDCAサイクルの始まりです。
パーソナルジムのLPにユーザーを集めるための主要チャネルがリスティング広告です。Google広告やYahoo!広告で「パーソナルジム + 地域名」等のキーワードに広告を出稿し、検索結果の上部にLPへのリンクを表示させます。
リスティング広告とLPの連携で押さえるべきポイント:
パーソナルジム業界のリスティング広告では、広告出稿企業数の増加によりクリック単価が上昇傾向にあります。StockSunのコラムでは、ジムの強みを的確に広告で伝えることで、CPAを大幅に削減できた事例が紹介されています。特定の広告手段に依存するのではなく、チラシ・看板・MEO(Googleマップ対策)・SNS等、複数のチャネルを組み合わせた集客が安定した成果につながるでしょう。
LPO(Landing Page Optimization)とは、LP公開後にデータに基づいて継続的に改善を行い、コンバージョン率を向上させる施策です。
LPOの基本サイクル:
A/Bテストで効果が出やすい要素:
| テスト対象 | 変更例 | 期待効果 |
|---|---|---|
| キャッチコピー | ベネフィット訴求 vs 悩み訴求 | CVR 10-30%改善 |
| CTAボタンの色 | オレンジ vs グリーン | クリック率向上 |
| CTAボタンの文言 | 「予約する」vs「無料体験を申し込む」 | CVR改善 |
| ファーストビュー画像 | トレーニング風景 vs 施設写真 | 直帰率低下 |
| フォーム項目数 | 5項目 vs 3項目 | フォーム完了率向上 |
A/Bテストは一度に一つの要素だけを変更するのが鉄則です。複数の要素を同時に変更すると、どの変更が効果をもたらしたのか判断できなくなります。
ここまでLP制作の具体的な方法を解説してきましたが、実はLP制作の前にもっと重要なステップがあります。それが「事業設計(モデリング)」です。
多くのパーソナルジムオーナーは「LPを作れば集客できる」「広告を出せばお客様が来る」と考えがちです。しかし、LP制作や広告運用は集客の「手段」に過ぎません。
LP制作だけでは解決できない根本課題:
これらの課題は、LP制作の前段階で解決すべき「事業設計」の領域です。例えば、月額15万円のコースを提供しているジムが、年収300万円層をターゲットにしたLPを制作しても、コンバージョンにつながる可能性は低いでしょう。料金設定とターゲット層の整合性が取れていないからです。
同様に、商圏内に既に大手パーソナルジムが3-4店舗存在するエリアで、差別化のないLPを制作しても効果は限定的です。集客課題の根本は「LP」ではなく「事業の設計」にある場合が少なくありません。
パーソナルジム経営において、集客にどこまで投資すべきかを判断するにはPL(損益計算書)の視点が欠かせません。
集客投資の判断に必要なKPI:
例えば、パーソナルジムの月額料金が5万円で平均継続期間が6ヶ月であれば、LTVは30万円です。このLTVに対してCPAが3万円であれば、利益に対する広告費の比率は10%となり、健全な投資水準と判断できます。
逆に、LTVが低い(月額が安い、継続率が低い)にもかかわらず、CPAが高い状態では、広告を出せば出すほど赤字が膨らむことになります。この場合、LP改善よりも先に、料金設計の見直しやリピート施策の強化が必要でしょう。
CPA削減の実例として、ジムのCPA1.6万円を達成した事例もあります。 これは広告のクリエイティブ改善だけでなく、ターゲット設定の最適化、商圏分析に基づく広告エリアの絞り込み、LP構成の見直しを総合的に実施した結果です。
パーソナルジムのLP制作は、集客効率を大幅に向上させる有効な施策です。本記事で解説した7つの構成要素を押さえ、ターゲットに合った導線設計を行うことで、コンバージョン率の高いLPを制作できます。
本記事のポイント: