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物流代行とは?料金相場・選び方・失敗回避まで完全ガイド【2025年版】

更新日

物流代行の範囲/相場/選定基準を最短で把握できる実務ガイドです。
チェックリストで外注すべき業務を可視化し、相場表で固定費+従量費+イレギュラーを概算。
最後に条件シート&KPIで横並び比較まで一気に進めます。
物流代行の選定は“安さ”ではなく、実績・システム相性・契約条件・KPI・サポートを基準に判断してください。
“選定の鉄則”を軸に、条件シートとKPIベンチマークを使って横並び比較まで一気に進めましょう。

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南雲宏樹

この記事の著者

南雲宏樹

南雲宏樹

Amazonハック、事業構築のスペシャリスト

リクルート(旧リクルートキャリア)、Amazon JapanでのECコンサルタントを経て起業。

Amazonに在籍中はプロジェクトリーダーとして、新製品の提案を含めて、売上向上のための全ての打ち手の立案を担当・実施。

起業後はAmazonに特化したコンサルティング・運用代行の他、フランチャイズ本部として全国に実店舗を20店舗以上展開。

物流代行とは?基礎と範囲

物流代行は、ECやD2Cの成長を支える基盤です。
スピード・正確性・コスト効率を外部の専門会社に委託することで、売上に直結する物流課題を解決できます。まずは「何を任せられるか」と「サービス形態の違い」を整理しましょう。

物流代行の定義と業務フロー

物流代行とは、入庫から出荷、返品までの物流プロセスを外部に委託する仕組みを指します。単に倉庫作業を外注するだけではなく、費用は「固定+従量+イレギュラー」の積み上げで決まるのが特徴です。
物流代行の流れは、大きく6つのステップに分かれます。

  1. 入庫・検品:届いた商品を受け取り、数量や破損を確認。ここでの精度がその後の在庫差異に直結します。
  2. 保管・在庫管理:棚やパレットに整理し、SKUごとに正しく在庫を記録。スペース効率と保管費用を左右します。
  3. ピッキング:注文ごとに商品を取り出す作業。誤出荷を防ぐため、バーコードスキャンや二次検品が重要です。
  4. 梱包・流通加工:安全に届けるための箱詰めや緩衝材、ギフト包装やセット組など。追加費用が発生しやすい工程です。
  5. 出荷・配送手配:送り状を発行し、配送業者に引き渡し。当日出荷率は顧客満足度を決める最重要指標です。
  6. 返品・交換対応:返ってきた商品を検品し、再販か廃棄かを判断。処理スピード(TAT)はCS満足度に直結します。

つまり、物流代行とは 「入庫 → 保管 → ピッキング → 梱包 → 出荷 → 返品」 の一連を任せることです。以下の表で、プロセスと注意点を整理します。

工程 主な作業内容 ポイント・難易度
入庫・検品 荷受け/数量・型番・外観検品/ロット・賞味期限登録/受入不良の隔離 波動期(注文急増期)は遅延リスク。検品精度が在庫差異に直結。
保管・在庫管理 棚入れ/ロケ割付/循環棚卸/温度帯・危険物区分の管理 SKU数が多いほど難易度↑。坪・棚・スペース効率とパレット課金(荷物を載せる台ごとに料金発生)がコストを左右。
ピッキング 受注引当/シングル・トータル・ゾーン方式(商品を取り出すやり方の種類)/検品(スキャン) 多品種少量で工数増。誤出荷の主要因のためバーコード運用と二次検品を設計。
梱包・流通加工 資材選定/同梱物封入/ギフト・熨斗・名入れ/検針・セット組 破損率と資材コストの両立。付帯作業は追加課金になりやすい。
出荷・配送手配 送り状発行/運送会社連携/追跡番号連携(API/CSV)/当日締切運用 当日出荷率はSLAの核心。締切時刻と例外(セール・土日・夜間)を明文化。
返品・交換(逆物流) 受領/写真記録/状態判定/再販可否/再入庫・廃棄・値引再販 返品TATと再販基準を契約に。CS分担・費用負担も事前合意。
※費用は「固定(基本料・保管)」+「従量(入庫・ピック・梱包・発送)」+「イレギュラー(流通加工・夜間・デバンニング等)」の積み上げで算出します。

3PL・フルフィルメントとの違い

物流代行とよく比較されるのが「3PL」「フルフィルメント」です。

  • 3PL(Third Party Logistics): 物流設計〜運用まで包括的に担う法人向けモデル。サプライチェーン最適化に強い。
  • フルフィルメントサービス: EC特化型。受注管理・在庫・出荷・返品まで一気通貫で代行。Amazon FBAが代表例。
  • 倉庫保管サービス: 在庫の保管のみ対応。出荷は別手配が必要。

違いを理解することで、自社に必要なのは「部分的な代行」か「包括的な委託」か判断できます。

市場の背景とニーズ拡大

経済産業省によると、2023年のBtoC-EC市場規模は24.8兆円(前年比9.2%増)
EC化率の上昇と人手不足を背景に、物流代行の需要は急拡大しています。
また、EC事業の成長とともに、

  • SKU数の増加(商品種類の多様化)
  • 繁忙期と閑散期の波動
  • 返品率の高さ(EC特有の課題)

が顕在化し、自社内処理では限界が見えやすい領域になっています。
物流代行は、単なる倉庫外注ではなく、「事業の成長スピードを決める戦略的選択」です。
まずは委託できる範囲と費用構造を理解し、次項で紹介する「業務チェックリスト」に落とし込むことが第一歩です。

委託できる業務チェックリスト

物流代行は“丸投げ”ではなく、どこまで任せるかを決める設計作業です。
最初に自社の業務を洗い出し、外注範囲を整理することで、見積もりの精度とコスト効率が大きく変わります。以下のチェックリストと詳細解説を活用してください。

委託範囲チェックリスト

まずは自社の課題を可視化しましょう。以下の質問に「Yes/No」で答えるだけで、外注すべき業務が浮かび上がります。

 入庫・検品を外注したい
 ✅在庫保管を外注したい
 ピッキングを外注したい
 ✅梱包を外注したい
 ✅出荷を外注したい
 返品対応を外注したい
 ✅流通加工を外注したい
 特殊対応を外注したい(冷凍・危険物・許認可・越境ECなど)

チェックが多いほど「フルフィルメント型」が向きます。少ない場合は「部分委託型」
で十分です。

各項目の解説

チェックリストで「Yes」が入った項目は、実務で特に外注効果が大きい領域です。
以下で一つひとつの内容と注意点を深掘りします。

入庫・検品

  • 物流の起点となる工程。ここでミスが出ると全工程に波及します。
  • 仕入れ商品の荷受け、数量・破損チェック、ラベル確認を行います。精度が低いと在庫差異や欠品を招き、顧客満足度に直結します。
  • 外注時は 「納品予約システム」「ラベル様式統一」「異常時フロー」 を必ず確認すべきです。

在庫保管

  • 倉庫コストの大半を占める工程で、SKU数や保管方法が直結します。
  • 棚・パレット管理、SKU別の配置、温度帯(常温・冷蔵・冷凍)管理などが求められます。SKUが多いほど複雑化し、誤在庫やピッキング効率低下のリスクがあります。
  • 料金体系(坪単価/棚単価/パレット課金方式)と温度帯対応の有無を事前に把握してください。

ピッキング

  • 最も工数がかかり、誤出荷リスクが集中する工程。
  • 注文ごとに商品を取り出す作業です。シングル/トータル/ゾーン方式の違い(商品を取り出すやり方の種類)や、バーコードスキャン対応の有無が精度に直結します。
  • 外注時は 「誤出荷率」と「二次検品体制」 をSLAに盛り込むことが必須です。

梱包

  •  破損率とコストを左右する、顧客体験に直結する工程
  • 資材選定、ラッピング、同梱物管理を含みます。特にギフト対応や熨斗・名入れは追加費用が発生しやすい領域です。
  • 資材持ち込み可否、ラッピング対応範囲、同梱物封入単価を必ず確認しましょう。

出荷

  • 顧客が商品を受け取る最終工程満足度に直結します。
  • 宅配業者への引き渡し。当日出荷率や締切時刻、土日対応の可否でサービス水準が決まります。複数業者と契約しているかもポイントです。
  • 契約時に 「当日出荷率」と「締切時刻」 を明文化することが不可欠です。

返品対応

  • 逆物流はコストも手間もかかるが、顧客体験には欠かせない工程
  • 返品商品の受領、検品、再販可否の判断を行います。遅れるとクレームやレビュー低下につながります。
  • 返品処理TAT、再販基準、廃棄フローを必ず契約に含めましょう。

流通加工

  •  付加価値を生み、差別化にもつながる工程
  • セット組、検針、シール貼付、チラシ封入など。繁忙期はキャパ不足になりやすいので要注意。
  • 標準料金に含まれる範囲と追加費用の単価を事前確認してください。

特殊対応

  • 業界特有の要件がある場合は必須。
  •  化粧品や医薬部外品では許認可、アパレルでは裾上げやスチーム加工、食品では冷蔵・冷凍など。越境ECや危険物対応の可否も重要です。
  •  対象業務の許認可、温度帯対応、輸出入サポート範囲をチェックしましょう。

物流代行は「全部任せるか/部分的に任せるか」で設計が大きく変わります
このチェックリストで外注範囲を整理したうえで、次章の料金相場を参考にコストを見積もることで、無駄のない委託が可能になります。

料金相場(早見表)

物流代行の費用は 「固定費+従量費+イレギュラー費」 の積み上げで構成されます。
この仕組みを理解せずに契約すると、見積もり段階では安く見えても、実際にはコストが膨らみがちです。
ここでは主要項目の相場レンジと、見積で注意すべきポイントを整理します。

固定費(基本料・保管料)

 物流代行には「毎月必ず発生する固定費」があります。特に保管料はSKU数・温度帯によって変動しやすいです。

  • 基本料:月額2~5万円程度(システム利用料や管理費を含む)
  • 保管料:
    • 棚単価:数百~数千円/棚
    • パレット単価:数千円/パレット
    • 坪単価:5,000~15,000円/坪
  • 温度帯別では冷蔵・冷凍が割高。危険物はさらに加算あり。

 固定費は「SKU数」「保管方式」「温度帯」で跳ね上がるため、自社商品の保管条件を正確に伝えることが必須です。

従量費(入庫・ピッキング・梱包・発送)

毎月の出荷件数に応じて発生するのが従量費。ここを正しく見積もらないと、月ごとの変動で赤字を招きます。

  • 入庫料:数十円~数百円/点(ケース単位は割安)
  • ピッキング料:30~80円/行、50~120円/点(多品種少量だと高騰)
  • 梱包料:50~150円/個(資材代別)
  • 発送費:宅配便運賃+手数料(例:関東発60サイズで600~900円)

従量費は出荷波動(注文数の季節的な増減、繁忙期の山谷)に左右されるため、繁忙期の最大件数を前提に契約条件を定めるのが安全です。

イレギュラー費用

見積書に明記されていない「隠れコスト」こそ、物流代行での失敗原因です。

  • デバンニング(コンテナ荷下ろし):数万円~/本
  • 同梱物封入・シール貼付:数円~数十円/枚
  • 時間外出荷(土日・夜間):数千円~加算
  • 返品処理:100~300円/件+廃棄費用
  • 最低課金:月間○件以下だと定額請求

イレギュラー費はSLA(サービスレベル合意書)に条件を明文化しないと、後から追加課金されるリスクが高いです。

料金相場まとめ表

物流代行の費用は項目ごとに単価が分かれており、見積もりの差は「どの項目が含まれているか」で生まれるのが実態です。
下記の表は、主要費目の相場レンジと注意点を整理した早見表です。契約前に必ず確認しておきましょう。料金相場は商材・波動・拠点で変動します。

費目 相場レンジ(税別目安) 備考/算定のポイント
基本料金(管理料) 月 30,000〜80,000円 小規模プランで低め。サポート体制・レポート頻度で差
入庫(荷受・検品) 10〜40円/個・明細、または3,000〜8,000円/パレット・コンテナ単価別 ロット・賞味期限登録や異常対応は加算されやすい
保管(在庫) 棚 200〜500円/棚月・パレ 1,500〜4,000円/月・坪 2,500〜8,000円/月 温度帯(冷蔵・冷凍)は割増。棚orパレor坪で単価体系が異なる
ピッキング 20〜60円/明細(行)・セット組は別途10〜50円加算が目安 多品種少量・マルチ引当で上振れ。検品スキャンの有無で差
梱包(通箱) 120〜400円/件(サイズ・緩衝材・封入数で変動) ギフト・熨斗・名入れは+50〜300円など個別単価になりやすい
資材(箱・袋・緩衝材) 箱 40〜180円/枚・宅配袋 15〜60円/枚・緩衝材 10〜40円/式 持ち込み可否で変動。規格外は割増・在庫保管費も要確認
発送(運賃)※宅配 60サイズ 500〜850円/80サイズ 650〜1,050円(関東内目安) 契約運賃・拠点立地・出荷量で差。冷蔵・冷凍は追加
※実際の単価は商材(サイズ・重量・壊れやすさ)/SKU数/波動(繁忙期)/温度帯/倉庫立地/出荷量で大きく変動します。

料金相場は「固定費+従量費+イレギュラー費」の積み上げで決まります。
特に保管料とピッキング料は、SKU数や波動の影響で大きく変動します。
自社の条件をRFP(提案依頼書)に明記し、見積の差分を横並びで比較することが成功のカギです。

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物流代行のメリット・デメリット

物流代行は「外注すれば必ず楽になる」と思われがちですが、実際には強力なメリットと同時にリスクも背負う選択です。
ここでは発注者の立場からメリットとデメリットを整理し、よくある失敗を防ぐポイントを解説します。

メリット

物流代行を活用することで、企業は自社だけでは実現しにくい効率化や拡張性を手に入れることができます。特に成長局面にあるEC事業者にとっては、費用・品質・スピードの3つの面で大きな利点が得られます。

  • コスト削減と固定費の変動費化:倉庫賃料や人件費を自社で抱えず、出荷件数に応じた変動費にシフトできます。繁忙期と閑散期の差が大きい事業ほど、コスト最適化の効果が出やすいです。
  • 品質の安定化:専門会社は出荷精度や在庫管理に強みを持ちます。検品・ピッキングをシステム化し、誤出荷率0.1%以下を実現している事業者も珍しくありません。
  • スピード対応とキャパシティ:当日出荷・波動対応など、内製では難しい処理能力を確保できます。EC成長局面で「販促を止めずに済む」のは大きな強みです。
  • 経営資源の集中:物流を手放すことで、経営者やチームは商品開発・マーケティングに専念できます。成長事業者が代行を選ぶ最大の理由です。

物流代行のメリットは、単なる外注以上に事業成長を加速させる仕組みとして機能する点にあります。
コスト・品質・スピードを外部の専門性で高めることで、企業は本来の強みにリソースを集中できます。

デメリット

一方で、物流代行には注意すべきリスクも存在します。契約条件や運用体制を理解しないまま依頼すると、想定外のコストや柔軟性不足に直面し、かえって事業を圧迫する可能性があります。

  • 自由度の低下:代行倉庫のオペレーションに合わせる必要があり、特殊な梱包や突発的な要望は難しくなります。
  • 想定外コストの発生:見積に含まれない「イレギュラー費」(最低課金・時間外・返品・流通加工)が後から膨らむケースは多いです。
  • 情報のブラックボックス化:自社で作業しないため、在庫差異や返品理由が見えづらいです。システム連携やレポート精度が低い業者では、意思決定が遅れがちになります。
  • 解約リスク・切り替えコスト:一度委託すると倉庫移転やシステム切り替えに大きなコストがかかり、簡単に戻せません。

物流代行のデメリットは見えにくさ」と「柔軟性の欠如に集約されます。
これらを軽視すると、契約後に大きな制約やコスト増に悩まされることになります。

失敗回避のポイント

では、メリットを享受しつつデメリットを最小限に抑えるにはどうすればよいのでしょうか。
以下のポイントを押さえておけば、実務での失敗を防ぐ精度が大幅に上がります。

  • 見積は 「固定費+従量費+イレギュラー費」 の全体像で比較する
  • SLA(サービス品質合意)当日出荷率や誤出荷率を数値で明文化する
  • 在庫・返品のデータレポート形式を事前確認する
  • 契約期間と解約条件を必ず把握し、柔軟性を確保しておく

失敗回避のカギは契約前に曖昧さをなくすことです。
費用、品質、データ可視化、契約条件を事前に明文化すれば、外注リスクを大幅に減らすことができます。

物流代行の失敗事例と対策

物流代行は「任せれば楽になる」というイメージがありますが、実務では外注したことで逆にコストが膨らんだり、顧客満足度が下がったりする失敗も多く見られます。ここでは典型的な失敗パターンと対策を、文章・表・チェックリストで整理しました。

典型的な失敗パターン

  • コスト膨張:見積に含まれていない費用(最低課金、返品処理、流通加工、時間外対応)が積み重なり、想定より高額化。特にSKU数が多い事業では頻発します。
    → 契約前に「固定費+従量費+イレギュラー費」で総額を確認するのが必須。
  • 波動対応できない:セールや繁忙期にキャパ不足で出荷遅延。普段は問題なくても、波動期に翌日以降に回されレビュー炎上する事例が多いです。
    最大出荷件数、締切時刻、土日対応をSLAで数値化すべき。
  • 返品処理の遅延:返品受領から検品・再販判断までが遅れると、返金処理も滞り、クレームやチャージバックが増加。
    返品処理のTAT(処理時間)を明記し、再販基準を事前に合意する。
  • システム連携の不具合:WMS(倉庫管理システム)と自社ECが噛み合わず、在庫差異や二重出荷が発生。
    → 契約前にAPI対応(システム自動連携)やシステム互換性を確認し、テスト導入を経ることが安全。
  • ブラックボックス化:外注先の現場が見えず、在庫差異や返品理由が不明瞭に。問題が改善されず顧客満足度が低下します。
    定期レポートの粒度を合意し、月次レビューで現場状況を共有する。

失敗事例まとめ表

物流代行で発生しやすい失敗を「原因」と「回避策」までセットで整理しました。文章だけでは把握しづらい相関を、表で俯瞰してください。

物流代行の失敗事例まとめ表
失敗パターン よくある原因 回避策
コスト膨張 イレギュラー費(最低課金・返品・時間外・流通加工)の見落とし 費用を「固定+従量+イレギュラー」で契約前に明文化し、発生条件をSLAに記載
波動対応不可 繁忙期キャパ不足/締切時刻の取り決めなし SLAに「最大出荷件数」「当日締切」「土日対応」を数値で合意
返品処理の遅延 TAT(処理時間)未設定/再販基準不明確 返品TATを時間基準で設定し、写真記録と再販基準を契約に盛り込む
システム連携不具合 WMS(倉庫管理システム)/API仕様の確認不足 テスト環境で事前検証し、データ連携形式(CSV/API)を契約書に明記
自由度の低下 標準オペレーション外の梱包・加工が不可 契約前に「特殊対応可否」を確認し、別料金条件を明文化
ブラックボックス化 在庫差異や返品理由が見えない/レポート精度が低い 週次・月次の在庫/返品レポート形式を事前合意
切替コストの高さ 解約条件や倉庫移転コストを軽視 契約期間・解約条件・移転費用を必ず確認し、柔軟性を確保
※失敗事例を事前に把握し、契約時にSLAや条件を明文化しておくことで大半のリスクは回避可能です。

自己診断チェックリスト

実際に契約を検討する際には、チェックリスト形式で抜け漏れを確認すると効果的です。以下の項目は、失敗リスクを減らすための最低限の確認事項です。

 見積書に「条件外費用」が明記されているか
 繁忙期の最大出荷件数を確認しているか
 返品処理のTATが数値で定められているか
 WMSと自社ECシステムの連携テストを行ったか
 月次レポートのフォーマットを事前に確認したか

このチェックリストを使えば、「今の契約は大丈夫か?」を即座に点検できます。
物流代行は「任せれば安心」ではなく、“任せ方を設計する”ことで初めて成功する仕組みです。契約前に 費用・品質・データ可視化・契約条件 を明文化できれば、失敗の大半は防げます。

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条件シート&KPIベンチマーク

物流代行の見積を取ると、各社バラバラの書式や条件で出してくるため、そのままでは比較ができません
「A社はピッキング料込み」「B社は別途加算」といった状態では、どちらが安いか正確に判断できないのです。
そこで役立つのが 条件シート(簡易版)KPIベンチマーク(数値基準)
条件シートで「回答フォーマットを揃える」、KPIベンチマークで「品質を数字で合意する」ことで、初めてフェアな比較ができます。

条件シートのサンプル(簡易版)

この表は、見積依頼をするときに押さえておきたい基本項目です。
実際に使う際は、自社の条件に置き換えて記入してください。
「最低限この項目を揃えれば、横並びで比較できる」というチェックリスト代わりになります。

  
    条件シートのサンプル(自社条件に置き換えて活用してください)   
                                                                                                                                                                                                                                                                                                                        
確認項目記入例注意点
SKU数120SKU/月間+10〜-5SKUが多いほどピック工数↑(単価に反映)
注文数・波動平常1,800件/月、最大400件/日(セール時)最大出荷件数・土日対応・締切時刻を明記
サイズ・重量構成60/80/100サイズ比率:60%/30%/10%・平均1.2kg運賃・資材費・梱包工数に直結
返品対応返品率2.5%/再販可否A/B/Cランク返品TATと写真記録の扱いを明文化
SLA希望値当日出荷97%/誤出荷0.05%以下未達時の対応・改善プロセスを提示させる
料金明細保管・入庫・ピック・梱包・資材・運賃・時間外・流通加工含まれる/別料金を明確化
  
    このシートを参考に自社条件を埋めれば、各社の回答が揃い比較がスムーズになります。   

条件シートを配布するだけで、バラバラな見積が「同じ基準」で比較できるようになります。

KPIベンチマーク(必須4指標)

次に重要なのが、契約時に数字で品質を定義することです。
「スピード」「正確さ」「在庫精度」「返品対応」だけは最低限、KPI(評価指標)として合意しておきましょう。

     
    契約を曖昧にしないための“最低限のものさし”です。下の4指標を数字で合意すれば、多くのトラブルを未然に防げます。   
                                                                                                                                                                                                                                         
KPI指標目安値(中小EC向け)ポイント
当日出荷率95%以上(締切時刻までの注文)繁忙期は別基準を設定
誤出荷率0.1%以下商品違い・数量違い・同梱漏れを含む
在庫精度99.8%以上循環棚卸の頻度を確認
返品処理TAT受領から72時間以内再販可否の判断ルールを明確化
     
    まとめ:この4つを契約時に“数字で合意”しておけば、期待値のズレを回避できます。
    まずはここを起点に、商材や規模に合わせて数値を微調整してください。   

品質を数値で合意するだけで、「思っていたのと違う」というすれ違いを防ぎ、契約の安心感が大きく高まります。

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外注タイミングの判断軸

物流代行は「いつ導入するか」で効果が大きく変わります。
早すぎると固定費負担が重くなり、遅すぎると在庫混乱や出荷遅延で顧客満足度が下がります。
ここでは 出荷規模商材特性 の2つの観点で、最適な外注タイミングを整理します。

出荷規模での判断軸

自社の月間出荷件数を基準に、外注すべきタイミングを見極めます。

                                                                                                                                                                                                  
      出荷件数と外注の目安     
月間出荷件数内製の限界外注検討の目安
〜100件自宅や小規模倉庫で十分対応可能外注はまだ不要、内製で学習期間に使う
500件前後梱包・発送で1日数時間を奪われる副業・小規模ECは外注の分岐点
3,000件以上人手・倉庫スペース・システム管理が追いつかない外注必須。波動対応・キャパ確保も契約条件に入れる
  

    まとめ:月間500件を超えたあたりが、物流代行を検討する一般的な分岐点です。商材特性によってはさらに早期の外注も有効です。   

商材特性での判断軸

商材によっては少量出荷でも内製が難しく、早期外注が有効になるケースがあります。

  • 冷凍・冷蔵食品:温度管理のため専用倉庫が必須
  • 医薬部外品・化粧品許認可対応が必要、専門業者でないと不可
  • 大型家具・家電重量・配送制限のため、一般宅配では扱えない
  • サブスク商材定期出荷や同梱率が高く、効率化のため外注が有利

「許認可・温度管理・大型対応」など、自社でカバーできない要素が出たら、規模が小さくても外注検討すべきです。

判断の目安

物流代行を検討するタイミングは、

  • 月間500件超え で業務負荷が大きくなるとき
  • 商材特性が内製の限界を超えるとき

この2つが大きな目安です。
外注を“早すぎず遅すぎず”導入することで、コスト最適化と顧客満足度を両立できます。

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会社選定のチェックポイント

物流代行を依頼する際に最も難しいのが「どの会社を選ぶか」です。
料金だけで決めると、後から隠れコストや品質問題に悩まされるリスクがあります。
ここでは 失敗しないための見極めポイント を整理します。

実績・得意領域

外注先の信頼性を測る一番の材料は「これまでの実績」です。
扱ったことのない商材や規模に挑戦させると、予期せぬトラブルを招きやすくなります。

  • 同業界・同規模の実績があるか
  • 取り扱い商材の適性(例:冷凍食品・化粧品・大型家電など特化分野)
  • BtoC/BtoB比率(エンドユーザー向け対応経験があるか)

「自社と近い事例」が豊富な会社は、トラブル時の対応力が段違いです。

システム連携力

物流代行は「システム相性」で効率が大きく変わります。
システムが合わなければ、せっかく外注しても手作業が残り非効率です。

  • 受注システム・ECカートとの自動連携が可能か
  • 在庫のリアルタイム可視化に対応しているか
  • 返品・キャンセル処理のデータ反映スピード

手入力やCSVアップロード前提だと、人為的ミスや工数が増えます。

コストと契約条件

費用は当然重要ですが、単価表の見た目だけで判断すると危険です。
特に契約条件の縛りや繁忙期の例外料金は「落とし穴」になりやすい部分です。

  • 最低利用料金や固定費の有無
  • 繁忙期の割増条件
  • 解約条件(違約金・最低契約期間)

「見積金額が安い」=「最終的に安い」とは限りません。契約条件まで要確認。

 品質管理とKPI運用

物流代行は委託すれば終わりではなく、品質を数値で管理する仕組みがあるかどうかが重要です。

  • 出荷正確率・在庫精度などKPIを明示しているか
  • 定期レポートやダッシュボード提供があるか
  • トラブル時の再発防止プロセス

KPIが契約書に明記されていないと、トラブル時に泣き寝入りリスクが高いです。

サポート体制

物流はトラブルがつきもの。そのときに「誰がどのくらいのスピードで動いてくれるか」で安心感が決まります。

  • 専任担当者が付くか、窓口がコールセンターのみか
  • 問い合わせ対応のスピード
  • 緊急時の土日・夜間対応

サポートが薄いと、在庫事故や出荷遅延のリカバリが遅れます。

選定の鉄則

物流代行を選ぶときは、料金の安さではなく「実績・システム相性・契約条件・KPI・サポート」の5点を必ず基準にしてください
この軸で比較すれば、目先のコストに惑わされず、長期的に安心して任せられるパートナーを見極められます。

                                                                                                                                                                                                                                                                                        
主要物流代行プレイヤーの特徴一覧
会社名得意領域強み注意点
スクロール360通販・EC全般大手通販支援の実績、システム連携に強い小ロットではコスト感が合わない可能性
フジ物流アパレル・小物EC在庫精度の高さ、返品対応が得意冷凍冷蔵など特殊商材は非対応
e-Logit幅広いEC事業者全国対応、D2C・サブスクにも実績標準化重視でカスタマイズ性は低め
NTM中小規模EC小ロットでも柔軟対応、コストバランス良大規模案件には不向き
  

    ※比較はあくまで一般的な特徴です。実際の条件は各社の提案内容を必ず確認してください。   

主要プレイヤーの強みと注意点(簡易比較)

物流代行を検討する際、最終的に比較されるのは「どの会社に頼むか」です。
ここでは代表的なプレイヤーをピックアップし、それぞれの特徴をシンプルに整理します。
※あくまで概要なので、詳細は各社サイト・資料請求で確認してください。

主要プレイヤー比較表

物流代行の外注先を検討する際、最も気になるのが「各社の違い」です。
しかし、情報を個別に集めるだけでは比較が難しく、判断を誤りやすいのが実情です。
そこで代表的なプレイヤーをピックアップし、得意領域・強み・注意点 を一目で整理しました。

                                                                                                                                                                                                                                                                                        
主要物流代行プレイヤーの特徴一覧
会社名得意領域強み注意点
スクロール360通販・EC全般大手通販支援の実績、システム連携に強い小ロットではコスト感が合わない可能性
フジ物流アパレル・小物EC在庫精度の高さ、返品対応が得意冷凍冷蔵など特殊商材は非対応
e-Logit幅広いEC事業者全国対応、D2C・サブスクにも実績標準化重視でカスタマイズ性は低め
NTM中小規模EC小ロットでも柔軟対応、コストバランス良大規模案件には不向き
  

    ※比較はあくまで一般的な特徴です。実際の条件は各社の提案内容を必ず確認してください。   

選び方の視点

この比較はあくまで入口です。
最終判断では、前項で整理した「実績・システム・契約条件・KPI・サポート」の5点を基準に、各社の提案を照らし合わせることが重要です。

まとめ

物流代行は、単なる外注ではなく事業成長を左右する戦略的パートナー選びです。
本記事で解説してきた内容を振り返ると、外注を成功させるための要点は次の3つに集約されます。

成功の3原則

  1. 料金の内訳を正しく理解する:固定費・従量費・イレギュラー費の構造を押さえ、相場表で見積を比較する。
  2. KPIと条件シートで客観的に比較する:出荷精度・在庫精度・返品処理スピードなど、数値基準を契約に落とし込む。
  3. 選定は「5点セット」で判断する:実績・システム相性・契約条件・KPI・サポート を軸に、長期的な信頼性を優先する。

物流代行を“安さ”だけで決めると、隠れコストや品質トラブルで必ず損をします。
逆に今回紹介したフレームで比較すれば、早い段階から黒字化を支える仕組みを作ることができます。とはいえ、

「本記事のチェックリストで課題は見えたけれど、この先どう進めればいいのかわからない…」

そんな悩みを持つ事業者も少なくありません。
私たちはこれまでに累計1,900社以上のEC・D2C事業を支援し、再現性のある成功モデルを体系化してきました。
その知見をベースに、御社の状況や文化を尊重しながら、伴走型で実行可能な戦略へと落とし込むことが可能です。
次の一歩を確実に踏み出したい方は、ぜひお気軽にご相談ください。

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