「ピラティススタジオを開業したいけれど、本当に利益が出るのだろうか」「すでにスタジオを経営しているが、思うように集客できない」。そんな悩みを抱えるピラティス経営者やこれから開業を目指す方は少なくありません。
ピラティス市場は急成長を続けており、業界調査レポートによると日本国内のピラティス・ヨガスタジオ市場は年平均8.9%の成長率で拡大すると予測されています。しかし成長市場であるがゆえに参入者も増え、「開業したものの廃業に追い込まれた」というケースも珍しくないのが現状です。
ピラティス経営で成功するカギは、インストラクターとしてのスキルだけではなく「利益を生む仕組み」を開業前から設計できるかどうかにかかっています。本記事では、ピラティス経営で利益を出すための7つの戦略を、実際の経営データや収益モデルとともに徹底解説します。集客方法やリピート率向上の具体策まで網羅しているので、ぜひ最後までお読みください。
目次

ピラティス経営を成功させるには、まず市場環境を正しく理解しなければなりません。感覚や勢いだけで開業しても、市場の構造を把握していなければ適切な経営判断は下せないでしょう。
業界調査レポートによると、ピラティス・ヨガスタジオの世界市場規模は2022年時点で約19兆円に達しており、2035年には約40兆円規模へ成長すると予測されています。年平均成長率は約10%で、フィットネス産業の中でも特に高い水準を誇る分野です。
日本国内に目を向けると、ピラティス・ヨガスタジオ市場は2024年に約1,600億円の規模に達し、2033年までに約3,800億円へ拡大する見込みです(CAGR 8.90%)。2025年1月時点で日本国内には約1,700軒のピラティススタジオが存在しており、2023年以降に大手チェーンを中心とした出店ラッシュが続いている状況です。
また独立行政法人中小企業基盤整備機構のJ-Net21が公開しているヨガ市場調査によると、ヨガ・ピラティスの利用率は全体で4%にとどまるものの、利用意向は全体で15%、女性に限れば23%と高い水準にあり、潜在需要はまだ大きいといえるでしょう。
市場が成長しているということは、新規参入者も増えるということです。大手フランチャイズチェーンが全国展開を加速させ、個人スタジオとの差別化はますます重要になっています。
勝ち残るスタジオの条件は以下の3つに集約されます。
市場の成長性に安心するのではなく、この3つの条件を満たしているかを開業前に厳しくチェックすることが重要です。

ピラティス経営で失敗するケースには共通したパターンがあります。逆にいえば、これらの原因を事前に把握して対策を講じることで、失敗リスクを大幅に下げられるのも事実です。
ピラティススタジオの経営において、立地選定は収益を左右する最大の要因です。ピラティスの主要顧客層は健康意識が高く、一定の可処分所得がある女性が中心となっています。この層が多く居住するエリアから外れた場所にスタジオを構えてしまうと、どれだけ質の高いレッスンを提供しても集客に苦戦するでしょう。
さらに問題なのが、立地選定の前に「事業設計」を行わない経営者が多いことです。物件の家賃、ターゲットとなる人口動態、周辺の競合状況、想定される会員単価、損益分岐に必要な会員数。こうした要素を総合的に分析してから物件を決めるべきですが、多くの場合「この物件が空いていたから」「家賃が安かったから」という理由で安易に決めてしまいがちです。
立地選定は事業設計の一部であり、事業設計なしの立地選定は博打に等しいといえるでしょう。
ピラティスインストラクターとしてのスキルは高くても、マーケティングの知識がなければ経営は成り立ちません。特によくある失敗は、以下のようなケースです。
| 失敗パターン | 具体例 | 本質的な問題 |
|---|---|---|
| 闇雲にWeb広告を出す | リスティング広告に月10万円投下するが成約ゼロ | ターゲティングと訴求メッセージが不適切 |
| SNSを毎日更新するが集客につながらない | Instagramの投稿数は多いがフォロワーが増えない | コンテンツ戦略がなく「見せたいもの」を投稿している |
| チラシを大量にポスティングする | 1万枚配布するが問い合わせゼロ | エリア選定とデザイン・オファー設計が不適切 |
| 紹介頼みの集客 | 既存会員の紹介だけに頼る | 新規チャネルが育っておらず成長が頭打ち |
これらの失敗の根本原因は、「適切な集客チャネルを選べていない」ことにあります。ピラティススタジオの集客は、スタジオの立地・ターゲット・予算に応じてチャネルを使い分ける必要があり、そのためのマーケティング知識が不可欠です。
加えて、固定費をかけすぎるケースも散見されます。おしゃれな内装に過剰投資したり、高額なマシンを導入しすぎたりして、初期投資の回収に長期間を要し資金繰りが悪化するパターンです。事業計画を立てずに「良いスタジオを作れば人は来る」と考えるのは危険でしょう。

ピラティス経営で最も重要でありながら、多くの経営者が見落としているのが「事業モデリング」です。これは、開業する前の段階で「利益が出る構造」を設計するプロセスを指します。
事業モデリングでは、以下の三要素を同時に最適化していきます。
1. 立地分析
単に「駅近」「家賃が安い」という基準ではなく、商圏内のターゲット人口、競合の出店状況、通勤導線との関係などを総合的に分析するのが基本です。例えば半径2km圏内に30代~50代女性がどのくらい居住しているか、既存の競合スタジオは何軒あるか、最寄り駅の乗降客数はどの程度かといったデータをもとに判断を下します。
2. 業態設計
マットピラティスのみにするのか、マシンピラティスも導入するのか。グループレッスン中心なのか、パーソナルレッスン中心なのか。これらは初期投資額、必要面積、人件費構造、客単価のすべてに影響する重要な判断です。
自宅型、テナント型、レンタルスタジオ型、オンライン型と開業形態は複数ありますが、それぞれのメリット・デメリットを理解した上で、PLの観点から最も利益が出る形態を選ぶことが重要です。
3. 価格設計
レッスン料金は競合の相場だけでなく、損益分岐点から逆算して設定するのが鉄則です。家賃・人件費・広告費などの固定費と変動費を積み上げ、必要な売上を算出した上で、想定会員数で割ることで「最低限必要な客単価」が導き出されます。この客単価がターゲット層の支払い意欲と整合しなければ、立地や業態の見直しが求められるでしょう。
事業モデリングの最終ステップは、PL(損益計算書)のシミュレーションです。開業初月から3年後までの月次PLを作成し、以下の項目を確認します。
このシミュレーションを開業前に行うことで、「そもそも利益が出る構造なのか」を事前に検証できるのが最大のメリットです。もし利益が出ない構造であれば、開業前に立地・業態・価格を調整すればよいのです。開業後に気づいてからでは手遅れになりかねません。
PLベースの事業設計は、ピラティスの指導スキルとは別のビジネススキルが求められるため、経験豊富な専門家の支援を受けることを推奨します。
ピラティス経営を検討する上で、具体的な収益モデルと経営数値を把握しておくことは欠かせません。ここでは各種データをもとに、現実的な数値の目安を示します。
ピラティススタジオの開業に必要な資金は、業態によって大きく異なります。
| 費用項目 | 自宅型 | テナント型(小規模) | テナント型(本格) |
|---|---|---|---|
| 物件取得費 | 0円 | 50~100万円 | 100~300万円 |
| 内装工事 | 0~30万円 | 30~100万円 | 100~500万円 |
| マシン・設備 | 10~50万円 | 50~200万円 | 500~1,500万円 |
| 広告宣伝費(初期) | 5~10万円 | 20~50万円 | 50~100万円 |
| 合計 | 15~90万円 | 150~450万円 | 750~2,400万円 |
月間のランニングコストについては、テナント型小規模スタジオの場合で30万円~が目安です。内訳としては家賃(10~20万円)、光熱費(2~3万円)、通信費(1万円)、広告費(5~10万円)、人件費(0~10万円)、備品・消耗品(1~2万円)が主な項目となっています。
損益分岐点の計算は、月間固定費÷(客単価-変動費)で算出可能です。例えば月間固定費が40万円、レッスン1回あたりの単価が5,000円、変動費がほぼゼロの場合、月80回のレッスン提供(=80人の来店)で損益分岐に達する計算です。
ピラティススタジオ経営者の年収は、経営規模や手腕によって大きな幅が生じます。
月間売上100万円のスタジオを1店舗経営した場合、利益率30%で年間の手取りは約360万円です。同じモデルを3店舗に拡大できれば約1,080万円に到達します。
一方、省人型のモデルでは営業利益率40%以上を実現しているケースも見られます。DXを活用してレッスン動画とスタッフ1名による運営を行い、人件費を大幅に抑えることで高い利益率を確保しているスタジオが存在するのです。
重要なのは、「売上を追う」のではなく「営業利益を最大化する」視点で経営設計を行うことでしょう。売上が高くても固定費や人件費が膨らんでいれば、手元に残る利益はわずかです。利益率の高い経営構造を設計することが、安定した経営の基盤となります。
ピラティススタジオの経営で多くの経営者が悩むのが「集客」です。しかし、集客の本質は「お金をかけること」ではなく「適切なチャネルに適切な予算を投下すること」にほかなりません。ここでは、顧客獲得コスト(CPA)を削減しながら集客を最大化する実践手法を解説します。
ピラティススタジオの集客チャネルは、スタジオの成長フェーズに応じて使い分けることが肝心です。すべてのチャネルを同時に始めるのではなく、優先順位を付けて段階的に展開するのが効率的でしょう。
フェーズ1: 開業準備期(開業2~3ヶ月前)
| チャネル | 目的 | 具体的施策 |
|---|---|---|
| チラシ | 地域認知の獲得 | 商圏内ポスティング、近隣施設への設置 |
| Googleビジネスプロフィール | MEO対策の土台構築 | 店舗情報登録、写真掲載、投稿開始 |
| ホームページ | 受け皿の準備 | SEO対策を施したLP作成、予約導線の設計 |
フェーズ2: 開業直後(1~3ヶ月目)
| チャネル | 目的 | 具体的施策 |
|---|---|---|
| MEO対策 | 「地域名+ピラティス」での上位表示 | 口コミ獲得施策、定期投稿 |
| ブランド認知・信頼構築 | レッスン風景、ビフォーアフター、お客様の声 | |
| 体験レッスンキャンペーン | 初回接点の創出 | 割引体験、友達紹介特典 |
フェーズ3: 成長期(4~12ヶ月目)
| チャネル | 目的 | 具体的施策 |
|---|---|---|
| SEO対策 | 中長期的な集客基盤構築 | ブログ記事、お悩み解決コンテンツ |
| Web広告 | 即効性のある新規獲得 | Google広告・Instagram広告(地域ターゲティング) |
| 紹介制度 | 低CPAでの安定獲得 | 紹介者・被紹介者双方への特典設計 |
この段階的なアプローチにより、開業初期はコストの低いチャネル(チラシ・MEO)で地域認知を獲得し、徐々にコストをかけた施策(Web広告)へ移行していくことで、トータルのCPAを低く抑えられます。
なお、Web施策がどのケースでも最適とは限りません。スタジオの立地やターゲットによっては、チラシや看板のほうが高い効果を発揮する場合もあるでしょう。大切なのは「どの施策が最もコスト効率が良いか」を数値で検証し、効果の低い施策は見切り、効果の高い施策に予算を集中させることです。
サブスクリプション型(月額制)のピラティススタジオでは、開業時にどれだけ多くの会員を獲得できるかが、その後の経営を大きく左右します。
中小企業庁の小規模事業者持続化補助金(創業型)では、創業後3年以内の小規模事業者を対象に販路開拓の取り組みに対して補助率2/3、上限200万円(特例で最大250万円)の補助金を提供しています。こうした制度を活用して開業前の集客コストを軽減するのも有効な手段です。
開業前2~3ヶ月間で以下の施策を実行することで、初月から損益分岐を超える会員数を確保することを目指します。
これらの施策を通じて開業前に見込み客リストを構築し、オープン初日から一定の会員数を確保することが、初月黒字化への最短ルートです。
新規集客と同じくらい重要なのが、既存会員の継続率(リピート率)の向上です。サブスク型経営では、会員の離脱を1%減らすことが、新規獲得よりも利益に大きく貢献するケースが多いのです。
体験レッスンに来たお客様を着実に入会へつなげるには、「体験の満足度」だけでなく「入会への導線設計」が不可欠です。
体験レッスンから入会までのプロセスを以下のように設計します。
このプロセスで重要なのは、「売り込む」のではなく「お客様の課題解決を提案する」スタンスです。お客様自身が「ここに通えば悩みが解決できる」と確信した上で入会を決めてもらうことが、長期的な継続につながります。
会員の継続率を高めるには、レッスンの質はもちろん、スタジオ体験全体の設計が重要です。
継続率を高める5つの施策
サブスク型経営の場合、月額の単価が低い分、会員数の最大化と継続率の向上が利益の源泉です。新規獲得にかけるコストよりも、既存会員の満足度向上にかけるコストのほうが、長期的なリターンは大きくなるでしょう。
ピラティスの指導スキルと経営スキルは、まったく別の能力です。優れたインストラクターが優れた経営者になれるとは限りません。経営に課題を感じたとき、プロの支援を受けることは弱さではなく、経営判断として正しい選択です。
以下のような状況に当てはまる場合、経営の専門家に相談することを検討すべきでしょう。
これらの課題は、1つでも当てはまるなら早めに専門家に相談することをお勧めします。問題が深刻化してからでは選択肢が狭まり、対策にかかるコストも大きくなるためです。
店舗ビジネスの経営支援では、以下のような具体的な成果が期待できます。
特に重要なのは、「何をやるか」だけでなく「何をやらないか」を判断できるパートナーの存在です。スタジオのフェーズによっては、Web広告よりもチラシのほうが効果的な場合もあるでしょう。そうした「No」と言える提案力を持つ専門家に相談することで、無駄なコストを削減し、利益に直結する施策に集中できるようになります。
自身がFC店舗(ピラティス)を経営してトップクラスの成果を出した実績を持つ店舗集客のプロ(濵口)に無料相談するでは、実体験に基づいたリアルなアドバイスを受けることが可能です。机上の空論ではなく、実際に店舗経営で結果を出してきた視点から、あなたのスタジオに最適な経営戦略を提案します。
ピラティス経営で利益を出すためには、インストラクターとしてのスキルに加えて「経営者としての視点」が不可欠です。本記事で解説した7つの戦略のポイントをおさらいします。
ピラティス市場はまだ成長の余地が大きく、正しい戦略で臨めば十分に利益を出せるビジネスです。しかし「良いレッスンを提供すれば自然とお客様が来る」という考えだけでは、厳しい競争環境を乗り越えることは難しいでしょう。
「利益を出す仕組み」を設計し、実行し、改善し続けること。それがピラティス経営の成功に最も近いアプローチです。
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