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【完全ガイド】D2C戦略の教科書|成功事例20選から学ぶ立ち上げからグロースまでの実践ロードマップ

更新日

「自社ブランドでD2Cを始めたいが、何から手をつければいいかわからない」
「すでにD2Cを運営しているが、売上が伸び悩んでいる」
「成功しているブランドの具体的な戦略を知り、自社に取り入れたい」

D2C(Direct to Consumer)というビジネスモデルが急速に市場を拡大する中、このような課題や疑問を抱える経営者やマーケティング担当者の方は非常に多いのではないでしょうか。

D2Cは、メーカーが卸や小売店といった仲介業者を介さず、自社のECサイトなどを通じて顧客に直接商品を販売するモデルです。顧客とダイレクトにつながることで、高い収益性、自由なブランディング、顧客データの活用といった多くのメリットが期待できます。しかし、その一方で集客から顧客対応、配送まで全てのプロセスを自社で担う必要があり、成功のためには緻密で包括的な戦略が不可欠です。

本記事では、株式会社StockSunのコンテンツマーケティングチームが、EC/D2C領域における豊富なコンサルティング経験を基に、D2C戦略の成功に必要な全要素を徹底的に解説します。国内外の最新成功事例を20件以上交えながら、ブランドの立ち上げから事業をグロースさせるまでの具体的なステップ、そして戦略立案に役立つ実践的なノウハウを、この1記事に凝縮しました。

この記事を最後まで読めば、D2C戦略の全体像を体系的に理解し、自社のビジネスを成功に導くための具体的なアクションプランを描けるようになるはずです。

戸田峻太郎

この記事の著者

戸田峻太郎

戸田峻太郎

EC事業を年商10億以上に育てるプロ

ECグロースの専門家。
DeNA・スリーミニッツ・ココナラで 15年/年商数百億規模のECを指揮 し、年間10億円超のマーケティング投資を統括。
スリーミニッツ時代のeimy istoireでは 月商1,500万→2億円 へ急成長を2年間で牽引。その他複数D2Cブランドを数億規模に成長させる。

2023年11月に独立後は 「EC構築~集客〜サイト改善~CRM」を一気通貫コンサル を提供し、売上とROIを同時に最大化。
EC企業のマーケティング支援・企業の生成AI活用顧問を務める。
2024年には世界的なMAツール「Braze」で日本の年間No.1 を個人で受賞(Marketing Leader of the Year)
2025年より StockSun認定パートナーとして活動領域を拡大中。

目次

D2Cとは?今さら聞けない基礎知識を徹底解説

D2C戦略を語る上で、まずはその定義と周辺知識を正確に理解しておくことが重要です。ここでは、D2Cの基本的な意味から、混同されがちなビジネスモデルとの違い、そしてなぜ今これほどまでに注目されているのかを深掘りします。

D2C(Direct to Consumer)の基本的な意味

D2Cとは、「Direct to Consumer」の略で、メーカーが自社で企画・製造した商品を、卸売業者や小売店を介さずに、自社のECサイトや直営店舗などを通じて顧客に直接販売するビジネスモデルを指します。従来、メーカー(B)が卸(B)や小売(B)を通じて消費者(C)に商品を届ける「BtoBtoC」モデルが主流でしたが、D2Cは中間業者を完全に排除し、「BtoC」の関係をよりダイレクトにした形態と言えます。

D2Cの最大の特徴は、単に「商品を直接売る」ことだけではありません。SNSやWebメディア、実店舗といった多様なチャネルを通じて顧客と直接的なコミュニケーションを取り、ブランドの世界観や商品のストーリーを深く伝えることで、顧客との強いエンゲージメントを築くことに重きを置いています。これにより、価格競争から脱却し、熱狂的なファンを持つブランドを構築することを目指します。

EC・BtoC・SPAとの違いとは?

D2Cは他のビジネスモデルと混同されやすいため、その違いを明確にしておきましょう。

  • EC(電子商取引)との違い
    ECは「インターネットを通じて商品を売買する行為そのもの」を指す広い概念です。D2CはECという手段を活用したビジネスモデルの一種ですが、Amazonや楽天市場のようなモール型ECに出店する形態とは異なります。D2Cはあくまで「自社ECサイト」を主軸に、ブランドの世界観をコントロールしながら直接販売することを重視します。
  • BtoC(Business to Consumer)との違い
    BtoCは「企業が一般消費者に商品やサービスを提供する」という取引形態の総称です。D2CもBtoCの一種ですが、BtoCの中には従来型のメーカーのように小売店を介して販売するモデルも含まれます。D2Cは、BtoCの中でも特に「直接販売」に特化したモデルです。
  • SPA(製造小売業)との違い
    SPA(Specialty store retailer of Private label Apparel)は、商品の企画から製造、販売までを一貫して行うビジネスモデルで、ユニクロやZARAが代表例です。D2CとSPAは製造から販売まで一貫して行う点で非常に似ていますが、成り立ちと主戦場が異なります。SPAが主に「実店舗」を軸に成長してきたのに対し、D2Cは「デジタル・オンライン」を主戦場として成長してきたブランドを指すニュアンスが強いです。ただし、近年ではD2Cブランドが実店舗を出店する(OMO)ケースも増えており、両者の境界は曖昧になりつつあります。

なぜ今、D2Cが注目されるのか?市場規模と3つの背景

D2C市場は世界的に拡大を続けています。その背景には、大きく分けて3つの環境変化があります。

  1. テクノロジーの進化とインフラの整備
    かつては専門知識が必要だったECサイトの構築が、ShopifyやBASEといった安価で高機能なプラットフォームの登場により、誰でも簡単に行えるようになりました。また、InstagramやTwitter、TikTokといったSNSの普及により、企業はマスメディアに頼らずとも、低コストでターゲット顧客に直接アプローチし、コミュニケーションを取ることが可能になりました。決済システムや物流サービスも多様化し、個人や中小企業でもD2Cビジネスを始めやすい環境が整ったのです。
  2. 消費者の価値観の変化
    モノが溢れる現代において、消費者の価値観は「所有」から「共感」へとシフトしています。単に機能が良い、価格が安いというだけでなく、「そのブランドがどのような想いで作られているか」「社会に対してどのような価値を提供しているか」といったストーリーや世界観に共感し、そのブランドを応援したいという気持ちで購入を決める消費者が増えています。D2Aは、こうした消費者の「共感ニーズ」に応えやすいビジネスモデルなのです。
  3. 既存流通モデルの課題
    メーカーにとって、卸や小売を介する従来の販売モデルは、中間マージンによる利益率の低下や、販売価格を自社でコントロールできないといった課題がありました。また、顧客データが手に入らないため、どのような人がなぜ商品を買ってくれたのかを正確に把握することが困難でした。D2Cはこれらの課題を解決し、高い収益性とデータに基づいた迅速な意思決定を可能にするモデルとして、多くの企業から注目を集めています。

D2C戦略のメリット・デメリットを比較

D2Cは魅力的なビジネスモデルですが、当然ながらメリットだけでなくデメリットも存在します。ここでは双方を深く理解し、自社で取り組むべきかどうかの判断材料としましょう。

D2Cの5つのメリット

  • 1. 収益性の高さ
    最大のメリットは、中間業者を介さないことによる利益率の高さです。卸や小売店に支払っていた中間マージンが不要になるため、その分を商品開発やマーケティングに再投資したり、価格を抑えて顧客に還元したりすることが可能です。これにより、持続的な事業成長の基盤を築きやすくなります。
  • 2. 顧客との直接的な関係構築
    SNSやメールマガジン、イベントなどを通じて顧客と直接コミュニケーションを取れるため、顧客の生の声(要望、不満、感想)をダイレクトに収集できます。このフィードバックを迅速に商品開発やサービス改善に活かすことで、顧客満足度を高め、ロイヤルティの強いファンを育成することができます。
  • 3. ブランディングのしやすさ
    自社ECサイトやSNS、パッケージデザイン、顧客対応など、全ての顧客接点(タッチポイント)において、ブランドの世界観やストーリーを一貫してコントロールできます。他社製品と並べて陳列される小売店とは異なり、ブランドの魅力を最大限に伝えられるため、独自のブランドイメージを確立しやすくなります。
  • 4. 顧客データの収集・活用
    自社ECサイトでの販売を通じて、顧客の年齢・性別・居住地といったデモグラフィック情報から、購入履歴、サイト内での行動履歴まで、詳細な顧客データを直接収集できます。これらのデータを分析することで、「誰が」「いつ」「何を」「なぜ」購入したのかを深く理解し、よりパーソナライズされたマーケティング施策や新商品の開発に繋げることが可能です。
  • 5. 販売戦略の自由度の高さ
    販売価格やキャンペーン、販売チャネルなどを全て自社でコントロールできます。例えば、期間限定のセット販売や、特定の顧客層に向けたクローズドなセール、サブスクリプションモデルの導入など、市場の反応を見ながら柔軟かつ迅速に販売戦略を立案・実行できる点は大きな強みです。

押さえておくべき3つのデメリット

  • 1. 集客・マーケティングの難易度
    D2Cは、ブランドの認知度ゼロの状態からスタートすることがほとんどです。Amazonや楽天市場のような集客力のあるモールに頼れないため、自力でターゲット顧客を集める必要があります。SEO、SNS運用、Web広告、インフルエンサーマーケティングなど、多岐にわたるデジタルマーケティングの知識と実行力が求められ、ここに最も多くのコストとリソースを要します。
  • 2. 初期コストとリソース
    商品を直接販売するためには、ECサイトの構築・運用費だけでなく、商品の在庫管理、梱包、配送といった物流(ロジスティクス)体制を自社で構築または外部委託する必要があります。また、顧客からの問い合わせに対応するカスタマーサポート体制も不可欠です。これらの初期投資と継続的な運用コストは、事業計画段階で正確に見積もる必要があります。
  • 3. 顧客対応の負荷
    顧客と直接つながることはメリットである一方、問い合わせ、クレーム、返品・交換といった全ての対応を自社で行う必要があります。ブランドの評判に直結するため、丁寧かつ迅速な対応が求められ、専門のチームや仕組みづくりが重要になります。事業規模が拡大するにつれて、この負荷は増大していく傾向にあります。

D2C戦略を成功に導く5つの重要ポイント

D2Cブランドを成功させるためには、単に良い商品を作ってECサイトで売るだけでは不十分です。ここでは、数々のD2Cブランドを成功に導いてきた普遍的な5つの重要ポイントを解説します。

1. 熱狂的なファンを生むブランドコンセプトと世界観

D2Cの成功は、いかに「このブランドが好きだ」という熱狂的なファンを作れるかにかかっています。そのためには、「なぜこのブランドが存在するのか(Why)」という問いに対する明確な答え、すなわちブランドの存在意義(ミッションやビジョン)が不可欠です。

例えば、メンズスキンケアブランドの「BULK HOMME」は、「男性の肌を根本から見つめ直し、自信を提供する」という強いメッセージを掲げています。このコンセプトに共感する顧客は、単なる消費者ではなく、ブランドを共に育てていく「ファン」へと変わっていきます。商品の機能的価値だけでなく、ブランドが持つストーリーや哲学といった情緒的価値を、Webサイトのデザイン、SNSの投稿、商品のパッケージなど、あらゆるコミュニケーションで一貫して表現することが重要です。

2. LTVを最大化する顧客体験(CX)の設計

D2Cでは、新規顧客の獲得コスト(CAC)が高くなる傾向があるため、一度獲得した顧客に何度もリピート購入してもらい、顧客生涯価値(LTV)を高めることが事業成長の鍵となります。そのためには、優れた顧客体験(CX = Customer Experience)の設計が不可欠です。

CXは、顧客がブランドを認知し、購入を検討し、実際に購入し、使用し、アフターサポートを受けるまでの一連の体験全てを指します。

  • 直感的で使いやすいECサイト
  • ワクワクするような開封体験(Unboxing)
  • 丁寧でパーソナルな顧客対応
  • 購入後の適切なフォローアップメール

こうした一つ一つの体験の質を高めることで、顧客満足度は向上し、「またこのブランドで買いたい」という気持ちを醸成します。特に、商品が届いた時の梱包や同梱物は、顧客との重要なコミュニケーション機会です。感謝のメッセージカードや、ブランドの世界観を伝える小冊子などを加えることで、オンラインでの購入でありながら、温かみのある人間的なつながりを演出できます。

3. SNSを活用したコミュニティ形成とUGCの創出

現代のD2C戦略において、SNSの活用は必須です。しかし、単に商品を宣伝する場として使うだけでは不十分です。SNSの本当の価値は、顧客と双方向のコミュニケーションを取り、ブランドを中心としたコミュニティを形成することにあります。

小柄な女性向けアパレルブランド「COHINA」は、Instagramのライブ配信を積極的に活用し、顧客からの質問にリアルタイムで答えたり、新商品の企画会議を公開したりすることで、顧客との距離を縮めています。これにより、顧客は自分がブランド運営に参加しているという意識を持ち、より強い愛着を感じるようになります。
(参考: COHINA公式サイト

こうしたコミュニティが活性化すると、顧客が自発的にSNSで商品の感想やコーディネートを投稿するUGC(User Generated Content = ユーザー生成コンテンツ)が生まれます。UGCは企業発信の情報よりも信頼性が高く、新規顧客の購買意欲を喚起する強力な口コミとして機能します。

4. データドリブンなマーケティング施策と改善サイクル

D2Cの強みである「直接収集できる顧客データ」を最大限に活用することが成功の分かれ目です。Google Analyticsなどのツールを使ってECサイトのアクセス解析を行うだけでなく、CRM(顧客関係管理)ツールを導入し、顧客一人ひとりの購買履歴や行動データを分析・管理することが重要です。

  • どの広告経由の顧客が最もLTVが高いか?
  • 一度購入した顧客が次に購入するまでの平均期間は?
  • どのような商品を一緒に購入する傾向があるか?

こうしたデータを分析することで、広告予算の最適な配分、顧客セグメントごとのメールマーケティング、アップセル・クロスセルの提案など、勘や経験に頼らない、データに基づいた(データドリブンな)意思決定が可能になります。Plan(計画)→ Do(実行)→ Check(評価)→ Action(改善)のPDCAサイクルを高速で回し続けることが、D2Cビジネスを成長させるエンジンとなります。

5. サブスクリプションモデルの導入検討

化粧品や食品、日用品といった消耗品を扱うD2Cブランドにとって、サブスクリプション(定期購入)モデルは非常に相性が良い戦略です。顧客にとっては、買い忘れがなくなり、都度購入するよりもお得になるというメリットがあります。一方、企業にとっては、毎月の売上を安定的に予測できるため、安定した経営基盤を築けるという大きなメリットがあります。

パーソナライズシャンプーの「MEDULLA」は、まさにサブスクリプションモデルで成功した代表例です。安定した収益基盤があるからこそ、継続的な商品改良やマーケティングへの投資が可能になり、事業を急成長させることができました。自社の商材が定期的な購入に適している場合は、サブスクリプションモデルの導入を積極的に検討する価値があります。
(参考: MEDULLA公式サイト

【5ステップで解説】D2Cブランド立ち上げの具体的な手順

ここからは、実際にD2Cブランドをゼロから立ち上げるための具体的な手順を5つのステップに分けて解説します。

Step1:市場調査と顧客ニーズの分析

全てのビジネスの原点は、顧客の課題解決です。まずは、誰の(Who)、どのような課題(What)を、なぜ(Why)解決したいのかを徹底的に考え抜きます。

  • 市場の選定: 自分が情熱を注げる領域であり、かつ市場に成長性があるかを見極めます。競合がひしめくレッドオーシャンではなく、まだ満たされていないニーズが存在するニッチな市場(ブルーオーシャン)を見つけることが理想です。
  • ペルソナ設定: ターゲットとなる顧客像(ペルソナ)を具体的に設定します。年齢、性別、職業、ライフスタイル、価値観、抱えている悩みなどを詳細に描き出すことで、後のコンセプト設計やマーケティング戦略がブレなくなります。
  • ニーズの検証: 設定したペルソナが本当にその課題を抱えているのかを検証します。SNSでのキーワード検索、アンケート調査、ターゲット層への直接インタビューなどを通じて、仮説ではなく事実に基づいたニーズを掴むことが重要です。

Step2:ブランドコンセプトと商品企画

Step1で発見した顧客の課題を解決するための具体的なソリューションとして、ブランドと商品を企画します。

  • ブランドコンセプトの策定: ブランドのミッション、ビジョン、バリューを定義し、ブランドが顧客に提供する独自の価値を言語化します。ブランド名、ロゴ、カラースキームなどもこのコンセプトに基づいて決定します。
  • 商品企画・開発: コンセプトを体現する商品を具体的に企画します。機能、デザイン、価格、品質など、あらゆる要素で競合との差別化を図ります。初期段階では、商品を絞り込み、まずはMVP(Minimum Viable Product = 実用最小限の製品)で市場の反応を見ることが有効です。
  • サプライヤーの選定: 商品を製造してくれる工場やサプライヤーを探します。品質、コスト、ロット数、納期などを比較検討し、信頼できるパートナーを見つけることが事業継続の鍵となります。

Step3:事業計画と資金調達

アイデアをビジネスとして成立させるために、詳細な事業計画を策定します。

  • 収支計画: 売上目標、原価、販管費(マーケティング費用、人件費、物流費など)を算出し、損益分岐点やキャッシュフローを予測します。特にD2Cでは初期の広告宣伝費が大きくなる傾向があるため、現実的な計画を立てることが重要です。
  • 資金調達: 自己資金で不足する場合は、資金調達を検討します。日本政策金融公庫からの融資、ベンチャーキャピタルからの出資、クラウドファンディングなど、事業のステージや特性に合った方法を選びます。事業計画書は、これらの資金調達の際にも不可欠な書類となります。

Step4:ECサイトの構築とサプライチェーンの確保

いよいよビジネスのインフラを構築するフェーズです。

  • ECサイト構築: ブランドの世界観を表現できるプラットフォームを選定します。カスタマイズ性の高いShopify、国内でのサポートが手厚いBASEやSTORESなどが人気です。商品写真の撮影、商品説明文の作成、決済システムの導入などを進めます。
  • サプライチェーンの構築: 商品の製造から顧客の手元に届くまでの流れ(サプライチェーン)を確立します。在庫を保管する倉庫の確保、受注に応じて商品を梱包・発送する物流業者との契約などを行います。初期は自社で対応し、規模が大きくなったら外部委託(3PL)を検討するのが一般的です。
  • 特定商取引法に基づく表記など: ECサイト運営に必要な法的手続き(特定商取引法に基づく表記、プライバシーポリシー、利用規約の作成)を忘れずに行います。

Step5:集客戦略の立案と実行

ECサイトが完成したら、いよいよ集客を開始します。

  • プレローンチ: 正式な販売開始前に、SNSなどでティザー情報を発信し、期待感を醸成します。事前登録者限定の特典を用意するなどして、初期の顧客リストを獲得します。
  • ローンチ: ECサイトを公開し、販売を開始します。初期の段階では、ターゲットに確実にリーチできるWeb広告(特にSNS広告)や、信頼性の高いインフルエンサーに商品を紹介してもらう施策が有効です。
  • 継続的なマーケティング: 販売開始後も、SEO対策による自然検索流入の増加、コンテンツマーケティングによる見込み客の育成、SNSでのコミュニティ運営、メールマガジンによるリピート促進など、複数の施策を組み合わせて継続的に実行し、データを分析しながら改善を繰り返します。

【業界別】D2Cブランドの国内・海外成功事例20選

ここでは、D2C戦略を学ぶ上で参考になる国内外の成功事例を、業界別に20ブランド厳選してご紹介します。各ブランドがどのようにして独自の価値を創造し、顧客の心を掴んだのかを見ていきましょう。

アパレル・ファッションの成功事例5選

  1. COHINA(コヒナ)
    身長155cm以下の小柄な女性向けアパレル。創業者自身の「自分に合うサイズの服がない」という悩みが原点。ターゲットのインサイトを徹底的に追求し、デザインだけでなくサイズ感にこだわった商品開発が支持されています。Instagramのライブ配信を毎日行い、顧客と密にコミュニケーションを取ることで、熱量の高いファンコミュニティを形成しています。
    公式サイト: https://cohina.net/
  2. FABRIC TOKYO(ファブリックトウキョウ)
    オンラインで完結するオーダースーツブランド。一度店舗で採寸すれば、そのデータがクラウドに保存され、以降はスマホやPCからいつでも自分サイズのスーツやシャツを注文できるというOMO体験を提供。テクノロジーを活用して、従来のオーダースーツの「面倒くさい」という課題を解決しました。
    公式サイト: https://fabric-tokyo.com/
  3. Allbirds(オールバーズ)
    「世界一快適な靴」をコンセプトにしたアメリカ・サンフランシスコ発のスニーカーブランド。メリノウールやユーカリの繊維といったサステナブルな素材を使用し、環境への配慮を前面に打ち出すことで、ミレニアル世代を中心に強い共感を獲得。シンプルなデザインと圧倒的な履き心地で、シリコンバレーのテック業界人から人気に火がつきました。
    公式サイト: https://www.allbirds.jp/
  4. 土屋鞄製造所
    もともとはランドセル工房として始まった日本の老舗ブランド。職人の手仕事による高品質な革製品を、WebサイトやSNSを通じて丁寧に発信。製品の背景にあるストーリーや作り手の想いを伝えることで、価格が高くても「長く大切に使いたい」と思わせる強いブランド力を構築。ECと実店舗を連携させ、上質な顧客体験を提供しています。
    公式サイト: https://tsuchiya-kaban.jp/
  5. Knot(ノット)
    高品質な腕時計とストラップを別々に販売し、顧客が自由に組み合わせられる「カスタマイズ」をコンセプトにした日本のブランド。中間流通を徹底的に排除することで、日本製・高品質ながら1万円台からという価格を実現。その日の気分やファッションに合わせて時計を「着替える」という新しい価値観を提案し、人気を博しています。
    公式サイト: https://knot-designs.com/

化粧品・コスメの成功事例5選

  1. BULK HOMME(バルクオム)
    「THE BASIC」をコンセプトに、男性の肌にとって本当に必要なものは何かを追求したメンズスキンケアブランド。SNS広告やインフルエンサーマーケティングを巧みに活用し、ターゲット層に的確にリーチ。シンプルで洗練されたパッケージデザインも、従来の男性化粧品のイメージを覆し、多くの支持を集めました。
    公式サイト: https://bulk.co.jp/
  2. MEDULLA(メデュラ)
    Web上の診断で髪質や好みに合わせたシャンプーをパーソナライズしてくれる、日本初のD2Cシャンプーブランド。約3万通りの中から自分だけの処方を提供し、「自分ごと化」された特別な体験を創出。サブスクリプションモデルにより、安定した収益基盤と顧客との継続的な関係を築いています。
    公式サイト: https://medulla.co.jp/
  3. Glossier(グロッシアー)
    アメリカ・ニューヨーク発のコスメブランド。「Skin first, makeup second.(まずは素肌、メイクはその後)」をコンセプトに、素肌を活かすナチュラルなメイクアップを提案。創業者エミリー・ワイスが運営していた美容ブログ「Into The Gloss」から生まれ、読者との対話を通じて商品を開発。Instagramを中心としたコミュニティ作りと、UGCの活用が非常に巧みです。
    公式サイト: https://www.glossier.com/
  4. N organic(エヌオーガニック)
    「暮らしを豊かに」というコンセプトを掲げる国産オーガニックスキンケアブランド。心地よい精油の香りと高い保湿力を両立させた商品が、仕事や育児に忙しい20〜40代の女性の支持を獲得。SNSでの世界観の作り込みが上手く、憧れのライフスタイルを提案することでファンを増やしています。
    公式サイト: https://n-organic.com/
  5. BOTANIST(ボタニスト)
    「植物と共に生きる」をコンセプトにしたボタニカルライフスタイルブランド。シャンプー・トリートメントが有名。D2Cという言葉が広まる前から、SNSでの口コミを起点に人気を拡大し、ドラッグストアなどへの卸展開も行うことで、D2Cと既存流通を組み合わせた成功モデルを築きました。
    公式サイト: https://botanistofficial.com/

食品・飲料の成功事例5選

  1. BASE FOOD(ベースフード)
    1食で1日に必要な栄養素の3分の1が摂れる「完全栄養食」のパンやパスタを開発・販売。健康志向や時短ニーズを捉え、「主食をイノベーションし、健康をあたりまえに」という明確なミッションで市場を開拓。サブスクリプションでの販売を主軸に、コンビニなどでの市販も組み合わせ、顧客接点を拡大しています。
    公式サイト: https://basefood.co.jp/
  2. Mr. CHEESECAKE(ミスターチーズケーキ)
    フレンチレストラン出身の田村浩二シェフが作る「人生最高のチーズケーキ」。SNSでの口コミと、日曜日と月曜日の朝10時からのみ販売するという希少性の高い販売戦略で、発売後すぐに完売するほどの人気ブランドに。シェフの経歴という信頼性を背景にした圧倒的な品質が成功の基盤です。
    公式サイト: https://mr-cheesecake.com/
  3. snaq.me(スナックミー)
    「おやつの時間をもっと価値のあるものにする」をコンセプトに、人工添加物不使用のナチュラルなスナックをパーソナライズして届けるサブスクリプションサービス。約100種類以上のおやつから、独自のアルゴリズムがユーザーの好みに合わせた8種類をセレクト。食べるたびにフィードバックを送ることで、BOXの内容がどんどん自分好みになっていく体験が、継続利用を促進しています。
    公式サイト: https://snaq.me/
  4. Minimal(ミニマル)
    「Bean to Bar」という、カカオ豆の選定からチョコレートの製造までを一貫して自社工房で行うクラフトチョコレートブランド。カカオ豆の産地ごとの個性を最大限に引き出した、フルーティーな味わいが特徴。チョコレートの製造工程や、カカオ農園とのストーリーを丁寧に伝えることで、新しいチョコレート文化を創造しています。
    公式サイト: https://mini-mal.tokyo/
  5. fuacha(ファーチャ)
    「その日の気分で選ぶお茶」をコンセプトにした台湾茶ブランド。お茶の専門的な知識がなくても、気分やシーンに合わせて直感的に選べるような商品設計と、洗練されたパッケージデザインが特徴。SNS映えするビジュアルで、若年層の女性を中心にファンを獲得しています。
    公式サイト: https://fuacha.com/

その他(日用品・雑貨など)の成功事例5選

  1. Warby Parker(ワービー・パーカー)
    アメリカのアイウェアブランドで、D2Cのパイオニア的存在。「高品質なメガネを適正価格で」を掲げ、5つのフレームを自宅で試着できる「Home Try-On」プログラムで業界に革命を起こしました。オンラインでの購入の不安を解消する画期的なサービスで、多くの顧客を獲得しました。
    公式サイト: https://www.warbyparker.com/
  2. Casper(キャスパー)
    「マットレス・イン・ア・ボックス」というコンセプトで、高品質なマットレスを圧縮して小さな箱で配送するアメリカの寝具ブランド。100日間の返金保証付きトライアル期間を設けることで、高価で試せないという寝具購入のハードルを下げ、急成長を遂げました。
    公式サイト: https://casper.com/
  3. Dollar Shave Club(ダラー・シェイブ・クラブ)
    高品質なカミソリの替刃を月額数ドルで定期配送するサブスクリプションサービス。創業者が登場するユニークでバイラルなCM動画が話題を呼び、一躍有名に。「カミソリは高すぎる」という消費者の不満を解消し、巨大企業が寡占していた市場に風穴を開けました。2016年にユニリーバに約10億ドルで買収されています。
    公式サイト: https://www.dollarshaveclub.com/
  4. TENTIAL(テンシャル)
    「健康に前向きな社会を創る」をミッションに掲げるウェルネスブランド。特許技術を用いたインソールやリカバリーウェアなど、機能性の高い商品を展開。アスリートの支持も厚く、その信頼性を背景に一般層にもファンを拡大。データとサイエンスに基づいた製品開発が強みです。
    公式サイト: https://tential.jp/
  5. 藤巻百貨店
    「日本」をテーマに、日本の職人やクリエイターが作る優れた逸品のみをセレクトして販売するECサイト。元伊勢丹の名物バイヤーとして知られる藤巻幸大氏(故人)がプロデュース。商品の背景にあるストーリーや作り手の想いを丁寧に伝えるコンテンツ力で、高価格帯の商品でもECで販売できることを証明しました。
    公式サイト: https://fujimaki-select.com/

D2C戦略で失敗しないために|よくある落とし穴と対策

多くの企業がD2Cに挑戦する一方で、残念ながら途中で撤退してしまうケースも少なくありません。ここでは、D2C初心者が陥りがちな3つの落とし穴とその対策について解説します。

「良い商品」だけで売れるという幻想

【落とし穴】
作り手は自社の商品に強い愛情と自信を持っているため、「こんなに良い商品なのだから、ECサイトに置けば自然と売れるはずだ」と過信してしまうことがあります。しかし、認知度がなければ、そもそも顧客はサイトに訪問すらしてくれません。これはD2Cで最も多い失敗パターンです。

【対策】
商品の品質はもちろん重要ですが、それと同じくらい、「どうやって顧客に知ってもらい、サイトに来てもらうか」という集客戦略にリソースを割く必要があります。事業計画の段階で、売上目標に対する適切な広告宣伝費(一般的には売上の10〜20%)を確保し、SNS広告、インフルエンサー施策、SEOなど、具体的な集客プランを立てて実行することが不可欠です。

集客戦略の欠如と広告費用の枯渇

【落とし穴】
とりあえずWeb広告を出してみたものの、どの広告がどれだけ売上に繋がっているのか効果測定ができていないケースです。CPA(顧客獲得単価)やROAS(広告費用対効果)を把握しないまま広告を出し続けると、効果の薄い広告に無駄な費用を使い続け、あっという間に資金が枯渇してしまいます。

【対策】
広告を出す前に、必ず効果測定ができるようにタグの設定(Google Analyticsや各広告媒体のコンバージョンタグなど)を行いましょう。そして、各広告のパフォーマンスを定期的に分析し、効果の高い広告に予算を集中させ、効果の低い広告は停止・改善するというPDCAサイクルを回すことが重要です。また、広告だけに頼らず、SEOやSNS運用といった、中長期的に資産となる集客チャネルも並行して育てていく視点が必要です。

顧客データを活用できていない

【落とし穴】
D2Cの大きなメリットである顧客データを収集しているだけで、全く活用できていないケースです。顧客が誰なのか、なぜ買ってくれたのか、次に何を求めているのかを分析せずに、全員に同じアプローチを続けていては、顧客は離れていってしまいます。

【対策】
CRMツールなどを活用して顧客をセグメント分けし、それぞれのセグメントに合わせたコミュニケーションを取りましょう。例えば、「初回購入者には感謝のクーポンを送る」「特定の商品を購入した人には、関連商品の情報を提供する」「しばらく購入のない顧客には、新商品の案内を送って再訪を促す」など、顧客との関係性を深めるためのOne to Oneマーケティングを実践することが、LTVの向上に繋がります。

本気のD2C戦略ならプロの併走が成功への近道

ここまでD2C戦略について網羅的に解説してきましたが、その成功には、ブランド戦略、商品開発、ECサイト構築、Webマーケティング、CRM、物流まで、非常に多岐にわたる専門知識と実行力が求められることをご理解いただけたかと思います。

なぜ専門家の支援が必要なのか?

D2Cは、まさに企業の総合力が問われる総力戦です。特に、競争が激化する現代において、最も重要かつ難しいのが「集客」と「顧客との関係構築」です。

  • 自社にWebマーケティングの専門家がいない
  • 何から手をつければ良いのか、戦略の優先順位がわからない
  • 広告運用やSEOを自己流でやっているが、成果が出ない
  • データ分析の仕方がわからず、次の打ち手に繋げられない

これらの課題を社内のリソースだけで解決しようとすると、多大な時間とコストがかかり、ビジネスチャンスを逃してしまう可能性があります。D2Cというスピード感が求められる市場で勝ち抜くためには、各分野の専門家の知見を活用し、最短ルートで成功を目指すことが賢明な選択と言えるでしょう。

StockSunが提供するD2C特化型コンサルティングの価値

私たち株式会社StockSunは、Webマーケティングのプロフェッショナル集団として、これまで数多くのD2Cブランドの立ち上げからグロースまでを支援してまいりました。

StockSunが他のコンサルティング会社と一線を画すのは、通過率1%以下の厳しい基準をクリアした、事業家・経営者視点を持つフリーランスの専門家集団であるという点です。SEO、広告運用、SNS、サイト制作、CRMなど、D2Cに必要なあらゆる領域のトッププレイヤーが在籍しており、貴社の課題に応じて最適なチームを編成し、戦略立案から実行までを一気通貫でサポートします。

「担当者ガチャ」のリスクを徹底的に排除します。事前に全パートナーの実績をご確認いただき、貴社が直接コンサルタントを指名することも可能です。成果が出なければ契約が終了するという厳しい環境だからこそ、全てのコンサルタントが当事者意識を持ち、全力で貴社の事業成果にコミットします。この仕組みが、継続率90%超という高い顧客満足度に繋がっています。

まずは無料相談から|貴社の課題に最適なコンサルタントがご提案します

「自社の場合は、どのような戦略が最適なのか話を聞いてみたい」
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もし、D2C戦略に関して少しでもお悩みであれば、ぜひ一度StockSunの無料相談をご利用ください。貴社の状況や課題を丁寧にヒアリングさせていただいた上で、累計1,910社の支援実績で培った知見を基に、最適な戦略とパートナーをご提案させていただきます。

D2Cという挑戦を成功に導くための、最強のパートナーがここにいます。下記のリンクからお気軽にお問い合わせください。

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