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M&Aで必要となるNDA(秘密保持契約書)とは? 重要な理由や注意したい 3つのポイントを解説

M&A
更新日

M&Aを進める際、以下のような疑問はありませんか?

「M&Aを進める上でNDAってよく聞くけど、どのような契約なの?」
「秘密保持契約書っていうのはわかるけど、M&Aでは特に重要なの?」
「NDAを作成するとき、どのような点に注意すればいいんだろう?」

M&A(合併・買収)を検討する中で、NDA(秘密保持契約書)は頻繁に耳にするでしょう。しかし、具体的な役割やM&Aの重要性、注意点まで深く理解している方は少ないかもしれません。

本記事では、M&Aに不可欠なNDAの基本的な意味から重要性、作成タイミング、主な記載項目、作成時の注意点まで、初心者にも分かりやすく解説します。

NDAの役割を理解し、安心してM&Aプロセスを進めたい方は、ぜひご参考ください。

亀田温大

この記事の著者

亀田温大

亀田温大

成果重視、ムダを省く。コスパ最強のSEO実行支援

大学在学中からSEO対策を独学し、PPP株式会社(StockSun 現代表 岩野圭佑氏の会社)に参画。

その後、20歳でStockSun株式会社のSEO実行支援サービス「SEOトライアル」を立ち上げ、PMとして1年半で年商2億円規模まで成長させる。
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M&Aで必要となるNDA (秘密保持契約書)とは?

M&Aで必要となるNDA (秘密保持契約書)とは?

M&AのNDA(秘密保持契約書)は、本格的な交渉に入る前に、相手から開示される秘密情報を第三者に漏らしたり、目的外で利用したりしないことを約束する法的な契約書です。「Non-Disclosure Agreement」を省略してNDAと呼んでいます。

M&Aでは以下の企業の根幹に関わる重要な秘密情報を扱います。

  • 財務情報
  • 技術
  • 顧客リスト
  • 経営戦略など

情報が漏洩すると、企業の競争力の低下や株価への影響、従業員や取引先の混乱など、深刻な損害につながる恐れがあります。

NDAを締結しておけば、情報漏洩リスクを低減し、万一の場合の責任の所在を明確にできます。また、関係者に秘密保持の重要性を認識させたい場合にも有効です。

M&AでNDAが重要な3つの理由

M&AでNDAが重要な3つの理由

M&AプロセスでNDAが極めて重要視される理由は、主に以下の3点に集約されます。

  • 機密情報の漏洩防止
  • 目的外使用の防止
  • 法的責任の発生

NDAはM&Aを始める上で最初に締結すべき重要な契約です。それぞれに関して詳しく見ていきましょう。

機密情報の漏洩防止

M&AでNDAが不可欠な最大の理由は、交渉過程で開示される機密情報の漏洩を防ぐためです。M&A検討時には、財務詳細・事業計画・技術・顧客情報など、通常は社外秘とされる情報を提供する必要があります。

情報を競合他社などに漏洩されると、事業継続や競争力に致命的なダメージを与える可能性があります。新技術の情報が漏れれば模倣されたり、顧客情報が漏れれば顧客を奪われたりするリスクが高まるでしょう。

NDAは買い手候補などの「情報受領者」に法的な秘密保持義務を課し、機密情報の厳重管理と無断開示の禁止を約束させることで、漏洩リスクを最小限に抑えます。

目的外使用の防止

M&A検討で得た相手企業の情報を、自社の営業活動や製品開発に流用すると、不正競争にあたる可能性があります。

NDAには通常、「目的外使用の禁止」条項が含まれ、情報受領者は開示された情報をM&Aの検討・評価・実行の目的にのみ利用するよう義務付けられます

例えば、売り手の顧客リストを自社の新規開拓に使うことは禁止です。NDAを締結しておけば、情報開示側は安心して機密情報を提供できます。

法的責任の発生

NDAは法的な拘束力を持つ契約であり、違反した場合の責任を明確にするため重要です。NDA締結により、当事者間には明確な秘密保持義務が生じます

もしNDAに違反して秘密情報を漏洩したり目的外使用したりした場合、違反者は相手方に対して損害賠償責任を求められます。また、情報漏洩の恐れがある場合には、情報の開示や使用の停止を求める「差止請求」が可能です。

そのため、法的責任を明記しておくと、秘密保持義務の遵守を促す抑止力となり、契約の実効性を高める効果があります。

M&AでNDAの作成が必要になるタイミング

M&AでNDAの作成が必要になるタイミング

M&AプロセスでNDAを作成・締結すべき最も重要なタイミングは、売り手企業に関する詳細情報の開示を受ける直前です。

M&A仲介会社などから社名を伏せた概要資料「ノンネームシート」が提示され、関心を持った買い手候補が、社名を含むより詳細な情報の開示を希望する段階で締結するのが一般的です。

M&Aの基本的な流れを買い手視点で紹介すると、以下の通りになります。

  1. 準備・戦略策定
  2. 相手探し(ノンネームシート確認)
  3. NDA締結 → 詳細情報の入手
  4. トップ面談
  5. 意向表明・条件交渉
  6. 基本合意
  7. デューデリジェンス
  8. 最終契約
  9. クロージング

仲介者を介さない直接交渉の場合でも、財務情報などの重要な情報を交換する前には必ずNDAを締結しましょう。「情報開示はNDA締結後」の原則を守ることが、リスク管理の基本です。

以下の記事では、M&Aの基礎を解説しています。今後、取り組もうとしている企業にとって有益な情報をたくさん紹介しているので、ぜひ参考にしてください。

M&AでNDAに記載する8つの項目

M&AでNDAに記載する8つの項目

M&AのNDAには、情報の保護と円滑な取引のために、一般的に以下の8つの項目が盛り込まれます。

  • 契約の目的:情報利用の範囲をM&A検討に限定。
  • 秘密情報の定義と範囲:何が保護対象の情報かを明確化。
  • 秘密情報の取扱い義務:情報受領者の具体的な管理義務。
  • 秘密情報の開示範囲:情報を共有できる関係者の範囲を限定。
  • 有効期間:契約自体の有効期間。
  • 秘密情報の返還・廃棄義務:契約終了後の情報の処理方法。
  • 違反時の措置:契約違反に対する損害賠償や差止め。
  • その他の条項:反社排除、準拠法、管轄裁判所など。

8つの項目を適切に設定すると、NDAの実効性を高められます。それぞれに関して、具体的に紹介します。

契約の目的

NDAに「契約の目的」を明記するのは、開示される秘密情報の利用範囲を限定するために不可欠です。「本M&A取引の検討、評価、交渉および実行の目的」のように具体的に記載し、目的以外での情報利用(目的外使用)を明確に禁止します。

利用目的を制限すると、売り手の顧客情報を自社の営業に使う、技術情報を自社開発に流用するなどの、M&A検討から逸脱した行為を防ぐことが可能です。目的外使用は情報漏洩と同様にリスクが高いため、契約条項でしっかりと制限をかけましょう。

秘密情報の定義と範囲

秘密情報の定義と範囲を明確に定めることは、契約の根幹です。どの情報がNDAによる保護の対象となる「秘密情報」なのかが曖昧になっていると、トラブルにつながる場合があります

一般的には、「秘密」である旨が明示されている書面・口頭・電子データなどが対象となりますが、口頭開示の扱いや、性質上明らかに秘密と判断される情報を含むかなどを具体的に定めます。

また、すでに公開されている情報や独自に開発した情報など、秘密情報から除外される情報も明記が必要です。明確な定義により、保護対象が特定され、当事者の義務範囲が明らかになります。

秘密情報の取扱い義務

「秘密情報の取扱い義務」は、情報受領者が秘密情報をどのように管理すべきかを具体的に定める、NDAの中核となる規定です。主に以下の義務が含まれます。

  • 善管注意義務:情報を善良な管理者の注意をもって保管・管理する
  • 目的外使用の禁止:M&A検討以外の目的で情報を使用しない
  • 第三者への開示・漏洩の禁止:事前承諾なく情報を第三者に漏らさない
  • 複製制限:必要最小限を超えて情報を複製しない

取り扱いの義務を課すことで、情報の不適切な管理や利用、漏洩のリスクを低減します。

秘密情報の開示範囲

受領した秘密情報を、社内外の誰まで共有できるかを定めるのが「秘密情報の開示範囲」です。情報漏洩リスクを管理する上で重要な部分でもあります。

通常、開示範囲はM&A検討のために情報を「知る必要のある」自社の役員や従業員に限定されます。弁護士や会計士などの外部専門家への開示も、同等の秘密保持義務を課すことを条件に認められるのが一般的です。

開示範囲を必要最小限に絞ることで、情報拡散のリスクを抑えられます。また、開示を許可された者に対する監督責任を受領者が負う旨を定めることもあります。

有効期間

NDAの「有効期間」は、契約自体が効力を持つ期間を定めます。M&Aの検討期間を考慮し、通常1年〜3年程度で設定されるのが一般的です。

ただし、NDAの有効期間が終了しても、開示された情報の秘密性がすぐに失われるわけではありません。NDA本体の有効期間とは別に「秘密保持義務」に関しては契約終了後も、3年・5年など一定の期間存続させる旨の条項を設けます。

期間を設けることでM&Aが不成立に終わった後も、当面の間は情報の保護が継続されます。

秘密情報の返還・廃棄義務

M&Aの検討が終了した場合などに、受領者が保持する秘密情報をどう処理するかを定めるのが「秘密情報の返還・廃棄義務」です。

通常、受領者は開示者の指示に従い、秘密情報と複製物を速やかに返還するか、安全な方法で廃棄・消去し、証明書の提出をするのが義務付けられています。

M&Aが不成立の場合、情報が相手方に残り続けるリスクを排除するため、義務を明確に定めておきましょう。

違反時の措置(損害賠償・罰則)

NDA違反があった場合のペナルティを定めるのが「違反時の措置」条項です。契約の実効性を担保します。

最も一般的なのは、違反により損害が生じた場合の「損害賠償義務」です。損害額の立証が難しい場合に備え、違約金を定めることもあります。また、情報漏洩の恐れがある場合に開示や使用の差止めを請求できる「差止請求権」も規定されることがあります。違反時の措置を明記しておくと、契約違反の抑止力になります。

その他の条項

主要な項目以外にも、契約の完全性や紛争解決手続きを定める「その他の条項」が含まれます。

  • 反社会的勢力の排除:反社との関係がないことを相互に表明・保証
  • 誠実協議:契約に定めのない事項などを誠実に協議する義務
  • 準拠法:契約解釈の基準となる法律
  • 合意管轄:紛争時の裁判所を指定
  • 完全合意:本契約が最終的な合意であることを確認

上記の条項も、契約の安定性と予見可能性を高める上で重要です。

M&AでNDAを作成する際に注意したい3つのポイント

M&AでNDAを作成する際に注意したい3つのポイント

NDAはM&Aの入口となる重要な契約ですが、作成時には以下の3点に特に注意が必要です。

  • 秘密情報の定義と範囲を明確にする
  • 案件に応じて適切な契約形式を選択する
  • ひな型の安易な流用を避ける

形式的な締結で終わらせず、内容を吟味しておくと後のトラブル防止につながります。上記の点を踏まえ、必要に応じて専門家のアドバイスを求めましょう。

秘密情報の定義と範囲を明確にする

NDA作成時の最重要注意点は「秘密情報」の定義と範囲の明確化です。曖昧になっていると、どの情報が保護対象で、どこまで義務が及ぶのか不明確になり、トラブルの原因にもなります。

「開示される一切の情報」などの全体の定義だけでなく、財務や技術、顧客情報など情報の種類や、開示形態を具体的に列挙すべきです。

また口頭開示の扱いや、公知情報など秘密情報から除外される情報も明記しましょう。明確な定義が、意図しない情報漏洩リスクを防ぎ、責任範囲を特定できます。

案件に応じて適切な契約形式を選択する

NDAには主に「差入方式」と「契約書方式」があります。案件の実態に合わせて適切な形式を選ぶことが重要です。

差入方式は、情報受領者が署名し相手方に差し入れる形式を指しています。締結まで短期間で完了しますが、どちらか片方だけが債務を負う形になりやすいです。

また、契約書方式は、両事業者が秘密保持契約に合意して、お互いに秘密保持義務を負う形式です。

M&Aでは買い手・売り手双方が情報を受け取る場面もあるため、相互に義務を負う契約書方式が適しています。どちらが主に情報を開示するかなどを考慮して、適切な形式を選びましょう。

ひな型の安易な流用を避ける

インターネットなどで入手できるNDAひな型の安易な流用は危険です。汎用的なひな型は、M&A特有のリスクをカバーしていない可能性があります

M&Aでは財務詳細や従業員、顧客情報など、とても重要度の高い情報が開示されます。汎用ひな型では、さまざまな情報が秘密情報の定義に含まれていなかったり、保護レベルが不十分だったりする恐れがあります。

必ず案件の内容に合わせてひな型を修正するか、M&Aに詳しい弁護士などの専門家に作成やレビューを依頼しましょう。

M&AのNDA締結でお悩みなら 「StockSun株式会社」にご相談ください!

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M&AのNDA(秘密保持契約書)は、本格的な交渉や情報開示の前に締結され、取引の安全性を担保する重要な契約です。機密情報の漏洩や目的外利用を防ぎ、安心して情報を交換できる基盤が築かれます。

特にM&Aでは、財務情報や事業計画など、企業の根幹に関わる情報が開示されるため、NDAの締結は不可欠です。作成や締結に関しては、秘密情報の範囲・義務内容・有効期間・違反時の措置などを慎重に確認し、一方に不利な内容にならないように注意する必要があります。

NDAの作成やレビュー、交渉などで問題点が出てきた場合は、専門家に相談しながら進めていきましょう。

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