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株式譲渡とは?M&Aにおけるメリット・デメリットや手続きの流れ・最新事例3選も解説

M&A
更新日

「株式譲渡を検討しているが、何から手をつければいいのかわからない」
「自社にとって最適なM&Aのスキームを、専門家に相談して決めたい」

会社の将来を考え、株式譲渡によるM&Aを視野に入れる中で、上記のような悩みをお持ちではないでしょうか。

株式譲渡は有効な経営戦略の一つですが、成功させるには正しい知識と手順が不可欠です。

本記事では、株式譲渡の基本的な定義から、メリット・デメリット、具体的な手続きの流れ、さらには最新のM&A事例まで、網羅的にわかりやすく解説します。本記事を読めば、株式譲渡に関する疑問が解消され、次の一歩を踏み出すための知識が身につきます。

株式譲渡によるスムーズな事業承継や経営改善を実現したい方は、経験豊富なM&Aコンサルタントが在籍するStockSun株式会社へぜひご相談ください。

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亀田温大

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亀田温大

亀田温大

サイト制作、SEO対策、データ解析まで一気通貫

大学在学中からSEO対策を独学し、PPP株式会社(StockSun 現代表 岩野圭佑氏の会社)に参画。

その後、20歳でStockSun株式会社のSEO実行支援サービス「SEOトライアル」を立ち上げ、PMとして1年半で年商2億円規模まで成長。事業の拡大と共に50名以上のWebディレクター、インターンの育成を同時に行う。

Web解析士の資格を保有しており、データ解析に特に強く、サイト制作から一気通貫でWebマーケティングのご支援も可能
月間300本以上の記事制作/リライト、200本の被リンク獲得代行、常時10サイトの内部SEO改修の実行支援をディレクション。
常時70件以上のクライアント対応の統括。1年で対応したクライアントは200件以上。

Webサイト制作、SEO対策はもちろん、LLMO対策、Web広告、LINE構築、SNS運用、アウトバウンド営業支援等も包括的に可能

株式譲渡とは?

株式譲渡とは?

株式譲渡とは、会社の株主が保有する株式を第三者に譲渡し、会社の経営権を移転させるM&A手法の一つです。売り手株主が買い手に株式を売却し、対価を受け取ることで成立します。

株式譲渡は、とくに中小企業のM&Aで広く活用されています。理由は、手続きが比較的シンプルで、会社の法人格や従業員との雇用契約、取引先との契約、事業に必要な許認可などをそのまま引き継げるためです。

また事業への影響を最小限に抑えながら、スムーズに経営権を移転できるのも大きな特徴です。会社の所有者である株主が変わるだけで、会社そのものは存続します。

なお、以下の記事ではM&Aの概要やデメリット、継承の流れなどを紹介しています。全体の流れや目的をより深く知れるので、ぜひ参考にしてください。

M&Aとは? 主な目的や事業継承のデメリット・基本的な流れを徹底解説

株式譲渡の種類

株式譲渡の種類

株式譲渡は、株式をどのように売買するかによって、主に3つの種類に分けられます。

  • 相対取引
  • 市場買付け
  • 公開買付け(TOB)

会社の形態(上場か非上場か)や譲渡の目的によって、用いられる手法が異なります。それぞれの特徴を理解し、自社の状況に合った方法を選択しましょう。

相対取引

相対取引は、売り手株主と買い手が直接交渉し、当事者間で株式の売買契約を結ぶ方法です。主に、証券取引所に上場していない非公開会社の株式譲渡で用いられます。

相対取引では、市場価格などの基準がないため、当事者間の交渉によって譲渡価格やその他の条件を自由に決定できます。しかし、株主が複数いる場合は、それぞれの株主と個別に交渉し、合意を取り付ける必要があります。

また、多くの非公開会社では、定款で株式の譲渡を制限しています。株式を譲渡するには、取締役会や株主総会での承認手続きが必要になるため、手順を間違えないよう注意が必要です。

市場買付け

市場買付けは、東京証券取引所などの証券取引所を通じて、上場企業の株式を買い集める方法です。取引時間中であれば、誰でも市場価格で株式を売買できます。

少数の株式を取得する場合には手軽ですが、経営権の取得を目指して大量の株式を一度に買い集めようとすると、需要の急増から株価が高騰してしまうリスクがあります。

また金融商品取引法では、市場外での取引も含め、発行済株式総数の5%を超えて株式を取得した投資家に対して、「大量保有報告書」の提出を義務付けています。

公開買付け(TOB)

公開買付けは、通称TOB(Take-Over Bid)と呼ばれ、買収者が「買付期間・価格・株数」を事前に公表し、市場外で不特定多数の株主から株式を買い集める方法です。主に、上場企業の経営権取得を目的として利用されます。

市場価格に一定額を上乗せした「プレミアム価格」を提示し、株主からの応募を促し、短期間で大量の株式を安定的に取得するのを目指します。

金融商品取引法では、一定のルールに該当する株式の買付けにはTOBの実施が義務付けられており、厳格な法的手続きが必要です。

株式譲渡と各M&A手法との違い

株式譲渡と各M&A手法との違い

株式譲渡はM&Aの代表的な手法ですが、他にも事業譲渡や株式交換、合併などがあります。株式譲渡との違いを理解するのは、自社に最適なM&Aを選択する上でとても重要です。

手法株式譲渡事業譲渡株式交換合併
対象株式事業株式会社全体
法人格存続存続存続消滅する場合がある
承継包括的個別・選択的包括的包括的
特徴手続きが比較的シンプル必要な事業だけを選べる現金不要で買収可能会社が一つに統合される

株式譲渡は、会社を丸ごと引き継ぐため、負債や不要な資産も承継する包括承継です。一方、事業譲渡は事業単位での売買であり、引き継ぐ資産や負債を個別に選択できます。株式交換や合併は、より複雑な組織再編をともなう手法です。

株式譲渡で会社・事業を買収するメリット

株式譲渡で会社・事業を買収するメリット

株式譲渡でM&Aを行うことには、売り手側と買い手側の双方に多くのメリットがあります。ここでは、それぞれの立場から見た主なメリットを解説します。

  • 売却側の主なメリット
  • 買収側の主なメリット

メリットを理解しておくと、株式譲渡が自社の戦略に適しているかを判断しやすくなります。

売却側の主なメリット

株式譲渡は、売り手にとって手続きが比較的シンプルで、迅速に会社を売却できる点が大きなメリットです。株主名簿を書き換えるだけで、会社の所有権が移転します。

会社自体は存続するため、従業員の雇用や取引先との契約関係を維持したまま、事業を次の世代に引き継げます。

また、オーナー経営者が株式を売却した場合、売却益は個人に入ります。株式譲渡益にかかる税率は約20%であり、法人税率(約30%)よりも低いため、税制面でも有利です。

買収側の主なメリット

買い手側は、株式譲渡を選ぶことで会社の経営権を迅速に確保できます。株式の過半数を取得すれば、実質的に会社の意思決定をコントロール可能です。

事業に必要な許認可や各種契約はそのまま引き継げるため、新たに申請や契約変更を行う手間が省け、M&Aをスピーディーに進められます。従業員や設備、ノウハウも一体的に引き継ぐため、買収後すぐに事業運営を開始できるのも大きな利点です。

新規事業への参入や、既存事業の強化を短期間で実現でき、企業の成長を加速させる強力な戦略となります。

株式譲渡で会社・事業を買収するデメリット

株式譲渡で会社・事業を買収するデメリット

多くのメリットがある一方で、株式譲渡にはデメリットも存在します。ここでは、売り手側と買い手側、それぞれの立場から見た注意点を解説します。

  • 売却側の主なデメリット
  • 買収側の主なデメリット

株式譲渡を成功させたい方は、デメリットを事前に把握し、対策を講じておきましょう。

売却側の主なデメリット

株式譲渡を進めるには、原則として全株主の同意が必要です。一部の株主の所在が不明であったり、譲渡に反対する株主がいたりすると、手続きが滞ってしまう可能性があります。

また、会社を丸ごと譲渡するため、売りたい事業や資産だけを選んで売却できません。もし不採算事業が含まれている場合、会社全体の評価額が下がり、希望する価格で売却できないこともあります。

さらに、多くの会社では株式に譲渡制限が付いているため、譲渡には会社の承認手続きが必要となり、時間や手間がかかる場合があります。

買収側の主なデメリット

買い手にとって最大のデメリットは、会社の債務やリスクをすべて引き継ぐ必要がある点です。帳簿に記載されていない「簿外債務」や、将来的に訴訟に発展する可能性のある法務リスクなども含めて承継するため、事前の企業調査が必要です。

また、買収には多額の資金が必要になるケースが多く、資金調達が大きな負担となる可能性があります。

さらに、買収後に売り手企業の企業文化が自社と合わず、従業員のモチベーション低下や人材流出を招くリスクもあります。期待した相乗効果が得られない場合もあるでしょう。

株式譲渡の主要な手続きの手順・流れ 【6STEP】

株式譲渡の主要な手続きの手順・流れ 【6STEP】

株式譲渡の手続きは、主に以下の6つのステップで進められます。ここでは、株式に譲渡制限がある非公開会社を前提として解説します。

  1. 譲渡承認請求
  2. 取締役会または株主総会での譲渡承認決議
  3. 承認結果の通知
  4. 株式譲渡契約の締結
  5. 代金の決済・重要物品の引渡し(クロージング)
  6. 株主名簿の名義書換え・交付

それぞれのステップで何を行うのか、具体的に見ていきましょう。

1.譲渡承認請求

譲渡制限株式を第三者に譲渡する場合、まずは会社に対して承認を求める必要があります。

売り手となる株主は、譲渡したい株式の種類と数、譲渡相手の氏名や名称を記載した「譲渡承認請求書」を会社に提出します。これにより、会社が意図しない第三者に株式が渡ることを防ぐための、最初の公式な手続きが開始されます。

実務上は、譲渡する株主と譲り受ける買い手が共同で請求を行うのが一般的です。

2.取締役会または株主総会での譲渡承認決議

譲渡承認請求を受けた会社は、株式譲渡を承認するかどうかを決定しなければなりません。

承認機関は、会社の定款によって定められており、一般的には取締役会設置会社であれば取締役会、そうでなければ株主総会で決議を行います。

中小企業の場合は、当事者間ですでに合意が形成されていることが多いため、決議は形式的な手続きとなることも少なくありません。しかし、会社の意思決定として、正式な議事録を残すことが重要です。

3.承認結果の通知

会社は、譲渡を承認するかどうかの決議結果を、請求者(売り手株主)に通知する義務があります。

通知は、原則として請求があった日から2週間以内に行わなければなりません。もし、期間内に通知をしなかった場合、会社は譲渡を承認したものとみなされます。

万が一、譲渡を承認しない「不承認」の決定をした場合は、会社が自ら株式を買取るか、または会社が指定する第三者が買取るかのいずれかの対応をとる必要があります。

4.株式譲渡契約の締結

会社の承認が得られた後、売り手と買い手との間で「株式譲渡契約書」を締結します。契約書は、M&Aの最終的な合意内容を法的に確定させるとても重要な書類です。

契約書には譲渡する株式の数や譲渡価格、代金の支払い方法などの基本的な条件が記載されています。ほかに記載されているのは「表明保証」や「誓約事項」など、将来のトラブルを防ぐための詳細な条項です。

一般的には、企業調査や最終交渉を経て、すべての条件が固まった段階で締結に至ります。

なお、以下の記事では、M&Aのクロージングを解説しています。M&Aの最終契約の条件や手続きの流れを理解できるので、ぜひ参考にしてください。
M&Aのクロージングとは? 重要性や条件から手続きの流れを 3STEPで解説

5.代金の決済・重要物品の引渡し(クロージング)

クロージングとは、株式譲渡契約の内容を実際に履行する手続きのことです。

具体的には買い手は売り手に対して譲渡代金の全額を支払い、売り手は買い手に対して株券や、譲渡承認通知書・名簿・議事録など会社の重要書類を引き渡します。

ただし、株券不発行会社は株券の交付がありません。

一般的に、契約締結日とは別にクロージング日を設定しますが、同日に行うことも可能です。クロージングが完了すると、株式の所有権は法的に買い手へ移転します。

6.株主名簿の名義書換え・交付

クロージングが完了した後、最後に行うのが株主名簿の名義書き換えです。

会社に対して、株主名簿の株主の氏名を売り手から買い手に変更するよう請求します。名義書換えが完了して初めて、買い手は株主としての権利(議決権や配当を受ける権利など)を会社に対して主張できるようになります。

株券不発行会社の場合は、売り手と買い手が共同で請求するのが原則です。名義書換え後、会社から新しい「株主名簿記載事項証明書」の交付を受け、正式に株主となったことを確認します。

株式譲渡を目的に行われた最新のM&A事例3選

株式譲渡を目的に行われた最新のM&A事例3選

ここでは、株式譲渡が活用された近年のM&A事例を3つ紹介します。

  • PayPay株式会社によるPayPay証券の株式譲渡事例
  • シャープ株式会社によるシャープ福山レーザー株式会社の株式譲渡事例
  • 三菱電機による北弘電社の株式譲渡事例

上記の事例から、株式譲渡がどのような戦略的目的で利用されているかを見ていきましょう。

PayPay株式会社によるPayPay証券の株式譲渡事例

PayPayは、2023年にソフトバンクおよびLINEヤフーが保有するPayPay証券の株式を譲り受け、さらに増資を引き受ける形で同社を子会社化しました。

取引の目的は、PayPayグループ内での金融サービス連携の強化です。決済サービスと資産運用サービスをシームレスに結びつけ、利便性を高めることを目指しました。

親会社からの株式譲渡と増資を組み合わせることで、単なる株式の移動に留まらず、PayPay証券の成長資金を確保し、グループ全体での顧客基盤拡大とシナジー創出を狙う、戦略的な経営統合が行われました。

参照:PayPayによるPayPay証券の株式取得および第三者割当増資引受について | PayPay株式会社

シャープ株式会社によるシャープ福山レーザー株式会社の株式譲渡事例

シャープは、2024年に子会社であるシャープ福山レーザーの全株式を、親会社である鴻海精密工業の子会社に譲渡すると決定しました。

株式譲渡は、シャープが進める事業の「選択と集中」の一環です。譲渡に先立ち、シャープ福山レーザーが持つ半導体およびレーザー事業を会社分割によって承継させており、特定の事業を切り出して売却する形をとっています。

本事例は、グループ内での事業ポートフォリオ見直しのために、株式譲渡が戦略的に活用されたケースです。譲渡後、シャープの持ち分はゼロとなり、子会社関係は完全に解消される見込みです。

参照:会社分割による子会社への事業承継及び連結子会社の異動(株式譲渡)に関するお知らせ | シャープ株式会社

三菱電機による北弘電社の株式譲渡事例

三菱電機は、2024年に子会社である北弘電社の全株式を、電気設備工事大手の株式会社きんでんに譲渡する方向で合意しました。

株式譲渡は、三菱電機が進める事業ポートフォリオの再編の一環として位置づけられています。自社の中核事業との関連性が薄れた子会社を、事業とより親和性の高い企業の傘下に移すことで、グループ全体の経営資源の最適化を図る狙いがあります。

本事例は、グループ戦略の観点から行われる子会社の整理・再編でした。北弘電社は、同業大手のきんでんグループに入ることで、さらなる事業拡大が期待されます。

参照:三菱電機株式会社が保有する株式会社北弘電社の株式を株式会社きんでんに譲渡

株式譲渡を含むM&Aを検討中なら「StockSun株式会社」への相談がおすすめ!

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株式譲渡は、企業の未来を左右する重要な経営判断です。手続きが比較的簡単で会社の運用や取引関係を維持したまま移せるため、中小企業のM&Aで活用されています。

ただし、スムーズな事業承継や経営改善を実現するためには、専門的な知識と経験が不可欠です。

あなたが本気で株式譲渡によるM&Aを成功させたいとお考えなら、経験豊富なM&Aコンサルタントが在籍するStockSun株式会社へぜひご相談ください。「株式譲渡を検討しているが、どこから着手すべきかわからない」「専門家に相談したい」などの悩みや課題を解決します。

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