「東大卒からゴールドマン・サックス、そして起業・上場まで」
「株式会社ライスカレーの大久保社長の経営哲学とは?」
「SNSマーケティング企業の実態を知りたい」
本記事では、StockSunのWebマーケティングTV番組で放送された株式会社ライスカレー大久保社長への独占インタビューの内容を記事化しました。
2024年6月に東証グロース市場へ上場した注目企業の代表が語る、事業戦略から経営哲学まで、貴重なインサイトをお届けします。
目次
番組冒頭で明かされた社名「ライスカレー」の由来は、非常に興味深いエピソードでした。
大久保社長:
「創業メンバーの中に画家のゴッホが好きだった人がいたんですよ。ゴッホってGoogleで調べると当たり前に絵が出てくるじゃないですか。でも当時Instagramで『ゴッホ』って調べたらカレーの写真が出てきたんです。」
「それは何かって言うと、超カレー好きの人たちの間では『ゴッホ』という有名なお店があったんです。Googleでは出会えない情報だけど、ユーザーボイスだと出会えるみたいな、そういう一般ユーザー発信のインサイトとかデータを使っていろんな事業やっていくぞっていうので、『ゴッホとカレー』を結びつけると面白いよねっていうことで社名にしました。」
この体験こそが、同社のUGC(User Generated Contents)を活用したマーケティング戦略の原点となっているのです。
番組では、大久保社長の华丽なキャリアについても詳しく語られました。
大久保社長:
「ゴールドマン・サックスにいた時にM&Aのチームにいたんですよね。電通さんとか博報堂さんとか、そういう大手企業に、例えばシリコンバレーの広告系のスタートアップでいい会社ありますよって提案をするとか、そういう案件が多かったんです。」
「その中で特に大手の総合広告代理店さん向けにいいスタートアップとかありますよっていうのを紹介する、M&A候補リスト作りみたいな仕事があって、その中でアドテクにどんどん詳しくなっていったんです。」
番組では、1社目の起業についても詳しく語られました。
大久保社長:
「1社目で作ったのがMomentumっていう広告のアドテクノロジーという分野の会社で、かなりマニアックな技術系の会社だったんです。その会社はKDDIのグループ会社のSyn.ホールディングスというところに売却しました。」
売却金額については「当時の24歳か25歳だった私からしたら、ゴールドマン時代よりは良かったんじゃないかぐらいの金額」と語り、その資金がライスカレー創業の種銭になったことを明かしています。
ライスカレー創業のきっかけについて、大久保社長は明確な市場分析を語りました。
「当時WEBからかなりそのSNSとかアプリとかに少しずつ広告予算が移っていってたなっていうのが1つと、多くの人がウェブサイトでGoogleよりも、Instagramで検索したりですとか、YouTubeで見たりですとか、スマートフォン上でほとんど時間を使っていた。」
「一方で広告予算とか企業がマーケティングを頑張るところっていうのはまだWebが主戦場だったんですよ。ユーザーさんはスマホとかSNSとかそっちにたくさんいるのに、広告の予算がまだWeb側の方に多く投下されてる。この見てる人とお金かけてる場所がずれてるみたいな歪みがあるよねっていうところで、SNSマーケティングは面白いんじゃないかということでスタートしました。」
番組の中で最も印象的だったのは、大久保社長が提唱する「コミュニティ消費」という概念の説明でした。
大久保社長:
「コミュニティ消費って、自分と似たような属性とか自分と似たような価値観の人が消費してる行動を見て自分も消費しようと思うとか、そういうのを参考にするっていう形で、気づいたらその何々属性みたいなコミュニティが社会に無数にあるっていう状態ですよね。それを加速させたのがSNSだと思うんです。」
特に興味深かったのは、コミュニティ消費を先進国特有の現象として分析した部分です。
「コミュニティ消費っていうのが起きるのって先進国特有だと思ってるんですよ。例えば高度経済成長期の日本とかって全員同じ方向向いて、みんな経済成長するぞみたいな、国としてのゴールが決まってるんで、そこに向かって爆進で伸びていく。その時って価値観消費よりも利便性消費が勝つんですよね。」
「それが満たされていった中で、『さて私たちはどこに向えばいいんだろう』『何で生きてるんだろう』みたいになると、価値観でこう自分のあり方を探してくるみたいな状態になってくる。ある意味では贅沢な話なんですよ、コミュニティ消費っていうのは。そこでの商売を僕的にやってみて面白そうなところだなと思ってます。」
番組では、StockSunのマーケティング専門家から「SNSマーケ事業時価総額50億限界説」という鋭い指摘がありました。
StockSun側の指摘:
「SNSマーケッてどうですかね。上場企業でアイドマティクスさんとかホットリンクさんとか、何社かあると思うんですけど、多分50億前後とか、高くて100億以上、基本それメインですって会社ってあんまりないと思ってて。」
これに対する大久保社長の回答が秀逸でした:
「絶対に壁はあると思っていて、なぜかと言うと、そもそも1社目起業して売却した会社がいい事業だけれども市場規模的にそんな大きくないね、次は大きいところチャレンジしようっていうのを以前言っていた。にも関わらず50億天井ですって言ってるところ、絶対飛び込まないので、ここまではこれでよし、次コースてその後は必ずあると思うんです。」
「多分それが今も自社プロダクトとSNSマークの支援があると思うんです。この自社プロダクトこっちはむしろメインに伸ばしていくとか、別の事業入っていくとか、ここは具体的にあると思うんで、それをM&Aで補完するでも何でもいいんですけど。」
番組では、同社の積極的なM&A戦略についても詳しく語られました。
大久保社長:
「M&Aって2種類ありますよ。ビジネスモデル確立に行くためのM&Aと、そもそも規模の経済規模拡大していくためのM&A。前者はそもそも利益なかったり、自分たちが目指すビジネスモデルを作るために買ってくるものだから、例えばうまくいかなかったら全然利益回収できませんでした、みたいなこともあります。」
「でも規模拡大の例えば同業買いに行きますよみたいなところだったら、そもそも売上利益しっかりついてるものを買いに行くから、そんなに成功失敗確率低くないんじゃないか。そっちをIPO後がメインでやっていって、前者はIPO前にやってきたんです。」
番組では、一見すると同社の事業領域から外れて見える電動自転車ブランド「MOVE」の買収についても質問がありました。
StockSun側:
「今回電動自転車、さすがにちょっと飛び地感はあると思うんですよね。じゃ何が共通点かって言うと、いやSNSマーケでマーケティング支援できますよ、それは分かるんですけど、それにしても飛んでないかなっていうのはやっぱり感じる部分はある。」
大久保社長:
「そうですね、あの結構領域的にとにかくこう次の爆発材になるような芽をたくさん探してらっしゃるのかなっていうのは、それはもう電動バイクとかその今いるカテゴリーに囚われず、とにかくそのSNSを軸に芽が出るところを探そうっていう方針なのかなっていうのも、内部のちょっと事情的にはあるのかなみたいなのはちょっと思いました。」
番組では、上場後の戦略についても率直な議論が行われました。
大久保社長:
「結局その僕らが工場を作んなきゃいけないみたいな、20億円30億円もっとお金ないと戦えないみたいなビジネスをしてたら、それ大変だと思うんですけど、どちらかというと我々ってその総合格闘技を戦っていくための仲間集めとか、そのM&Aとかもそうですし人材とかもそうですし、そのためのものとしては上場企業っていう方が明らかに戦いやすいんですよね。」
「なので、そこに向けて最速っていうイメージでした。結局業績を伸ばしやすいのは上場企業として戦った方が業績を伸ばしやすいと私は判断しましたし、それは間違ってないと思います。」
番組では、2024年12月に東証から発表されたスモールIPOに関する辛辣な意見についても言及されました。
大久保社長:
「僕らがその批判を覆していかなきゃいけないと思ってますけど、上場準備っていう中では1つの、この例えばうちであればSNSマーケティングっていうことだけを主張してくれと言われるわけですよ。そういう強い成長ストーリーでなんかそういうものがないと、やっぱり業績とかも計算できませんみたいな話はあったりする。」
「一旦それでその株式市場っていうその今まで池で戦ってたプレイヤーがいきなり海に出るわけですから、どうやってこの海をナビゲートしていくかっていうところの船造りに多少時間かかるんですよね。その作業をやってない会社さんは上場ゴールと言われるべきだと思いますけど、うちみたいにちゃんとこう建物を今作り始めてる会社とかは期待していただいてもいいんじゃないかと思うわけですよね。」
番組の後半では、StockSunの各領域専門家から同社向けのマーケティング提案が行われました。
SNS専門家の富田氏から、Instagramの最新機能についての提案がありました:
「一斉配信チャンネルっていうものが11月ぐらいにビジネスに拡大しまして、結構おすすめの機能になってます。Instagramのアカウントの中にチャンネルっていうものを1つ作ることができて、そこにフォローしてる人に対してダイレクトメッセージで、いわゆるもう直接多くの方に一斉でメッセージを配信できる機能になってます。いわゆるLINE@みたいな形でメッセージに届くので、到達率がほとんどほぼ100%に近いものをリンクをつけて配信などをすることができる。」
YouTube専門家の柴田氏からは、同社が運営するミーデンタルスタジオ向けの提案が:
「ライスカレーさんが運営してるミーズがプロデュースしているミーデンタルスタジオといったものがございます。こちら歯科なんですけども、ここに対してYouTube活用することで年間数百人対のYouTube集客が可能なんじゃないかなという風に考えています。」
「実際に私がクリニックさんで支援してる今伸びているような事例でいくと、月に30人から40人ぐらいの集客みたいなことは現実的に可能なんじゃないかなと思っている。YouTubeは集客以外にもブランディングだったりとか、それこそ広告の部分でポジティブな効果が出たりとか、そのような応用が効くので取り組んで損がないんじゃないかなという風に考えております。」
番組の最後に、大久保社長の経営者としての価値観が語られました。
「私は特定の1個のことにずっと向き合うタイプではなく、時代の流れの中で自分がどういう仕事をすれば社会にインパクトを存在感を出せるかっていうのを都度考えるのが好きなタイプなんで、そうするとその特定の1個のことにずっと向き合うてよりかは、割とこう変化していきたいタイプなんで、上場企業の方が比較的変化しやすい土壌がありますよね。」
番組では、IRコミュニケーションの難しさについても率直に語られました:
「結局業績として示していくことによって、この発想って合ってたんだって話になるので、最初は株価つかなくてしんどい部分もあるとは思いますが、業績さえちゃんと作っていけば、ちょっと遅れて感度の高い人たちが株式市場にいますので、数字さえ出てれば後からやってきて、その背景にあるうちの考え方とかその成熟市場の中の成長を探してくるですとか、そういうのって先進国の商品の中で起きやすくて、SNSとの相性が良くて、それって物作りにも生かせるし自社ブランドに生かせるし、なんならクライアントのマーケティング支援にも生かせるんだみたいな、このうちのストーリーをちゃんと理解するっていうのは、業績がまずドライバーになると思います。」
本番組を通じて、StockSunとして株式会社ライスカレーの真の価値が見えてきました。
大久保社長が提唱する「コミュニティ消費」は、現代マーケティングの本質を捉えた概念です。StockSunが日々支援する企業でも、マス市場から細分化されたターゲット層へのアプローチが重要になっており、同社の戦略は時代に適合していると評価できます。
番組で指摘された「50億円の壁」に対する同社の回答は非常に説得力がありました。単なるSNS運用代行ではなく、コミュニティデータを活用した総合的なブランドプロデュース企業として差別化を図る戦略は、持続的成長への道筋を示しています。
大久保社長の金融業界出身の経験が活かされたM&A戦略は、単なる規模拡大ではなく戦略的な事業シナジーを狙った高度なものです。StockSunとしても、このようなM&A手法は他の成長企業にとって参考になると考えています。
今後の業績推移に注目し、同社の「コミュニティ消費」戦略がどこまで成果を上げるか、継続してウォッチしていく価値のある企業だと評価します。
\StockSunの専門家が最適な戦略をご提案/
【無料】マーケティング戦略の相談をする社名 | 株式会社ライスカレー |
英語表記 | Ricecurry Inc. |
設立 | 2016年4月 |
代表取締役 | 大久保 遼 |
本社所在地 | 東京都渋谷区道玄坂1-12-1 渋谷マークシティウエスト20階 |
従業員数 | 約130名 |
事業内容 | コミュニティデータプラットフォーム事業 |
上場市場 | 東京証券取引所グロース市場 |
証券コード | 195A |
上場日 | 2024年6月19日 |
公式サイト | https://ricecurry.co.jp/ |
■ マーケティングソリューション領域
・SNSアカウント運用代行
・インフルエンサーPR
・デジタル広告運用
・コミュニティデータマネジメントツール「CCXcloud」の提供
■ ブランドプロデュース領域
・オーラル美容ブランド「MiiS」
・Z世代向けアパレル「RiLi」
・マタタビ配合エナジードリンク「HICAT」
・自社ブランドの企画・開発・販売
※本記事は、StockSun WebマーケティングTV「東大→Goldman Sachs→売却→上場。大久保社長に突撃取材&マーケ徹底解剖‼【株式会社ライスカレー】」の内容を基に作成しました。