事業承継を検討している方で、以下のようなお悩みはありませんか?
「事業承継とは、具体的に何をすればいいのだろうか」
「後継者が見つからず、このままでは廃業するしかないのだろうか」
本記事では、事業承継の基本的な定義から、引き継がれる3つの要素、事業承継の全体像を詳しく解説します。
これから事業承継を検討している方は、ぜひ最後までご覧ください。
なお、事業承継に関して不安や悩みを感じている場合は、専門家に相談するのが有効です。
StockSun株式会社には、事業承継やM&Aに詳しい専門家が多数在籍しており、承継計画の策定から後継者選びまで、豊富な経験をもとにサポートします。
円滑な事業承継を進めたいとお考えの方は、ぜひ一度StockSun株式会社にご相談ください。
目次
事業承継とは、会社の経営者が後継者に経営のバトンを渡し、会社の存続とさらなる成長を目指す一連のプロセスです。
日本の中小企業では、経営者の高齢化と後継者不足は深刻な問題であり、事業承継は喫緊の課題となっています。計画的な事業承継は、会社の価値を維持し、従業員の雇用を守るためにも必要です。
M&Aに関して、詳しく知りたい方は、以下の記事もご覧ください。
関連記事:M&Aとは? 主な目的や事業継承のデメリット・基本的な流れを徹底解説
「事業承継」と「事業継承」は、使われる場面やニュアンスが異なります。
「承継」は、経営理念や地位など形のない抽象的なものを含めて、前任者の地位や事業を引き継ぐ際に使われる、広い意味を持つ言葉です。
「継承」は、財産や権利などの具体的なものを引き継ぐ場合に用いられる傾向が強い言葉です。
中小企業庁などの行政機関や、法律の分野では「事業承継」が公的に使用されています。
事業継承が注目されている背景は、以下の通りです。
上記の問題がなぜ事業承継の重要性を高めているのか、詳しく見ていきましょう。
現在、日本の中小企業経営者の高齢化が急速に進んでいます。中小企業庁のデータによると、2023年時点での経営者の平均年齢は60.5歳と、過去最高を更新しました。
経営者が高齢になると、不測の事態が発生するリスクが高まります。多くの高齢経営者が事業承継の準備に着手できていないのが現状です。
準備が遅れるほど、会社の競争力は徐々に低下し、最悪の場合、価値のある事業でも廃業せざるをえない状況に追い込まれてしまいます。
経営者の高齢化と並行して、後継者不足も深刻化している状況です。中小企業庁の調査では、60代の経営者のうち約38%が後継者不在であると回答しており、80代以上でも23%にのぼります。
社内に適任者が見つからない、あるいは従業員に株式を買い取る資金力がないなどのケースも少なくありません。
適切な後継者が見つからないのは、事業承継を円滑に進める上での障壁であり、日本の経済を支える多くの中小企業が持つ技術や雇用が失われることにつながります。
ここでは、事業承継で引き継ぐ3つの要素を解説します。
上記を整理して理解すると、事業承継を円滑に進める準備がしやすくなります。
「人」の承継とは、会社の経営権を後継者に引き継ぐ方法です。
中小企業では、経営者自身のリーダーシップや人脈が経営を支えていることが多く、経営権の引き継ぎは必要なステップです。
後継者には、株主総会での選任や代表取締役の登記変更などの法的な手続きを経て、正式に経営権が移されます。時間をかけて経営ノウハウを伝え、関係者への紹介を行うなど、段階的な引き継ぎが望ましいでしょう。
「資産」の承継とは、事業を継続するために必要な有形の資産を後継者に引き継ぐ方法です。自社株式、事業用の土地・建物などのプラスの資産だけでなく、借入金などの負債も含まれます。
株式や不動産などの資産を引き継ぐ際には、贈与税や相続税などの多額の税金が発生する可能性があります。税理士などの専門家と相談しながら、計画的に税金対策を進めることが必要です。
「知的資産」の承継とは、貸借対照表には載らない、会社の競争力の源泉となる無形の資産を引き継ぐ方法です。長年培ってきた経営理念や企業文化などが含まれます。
上記の知的資産は、会社の真の価値であり、スムーズな承継ができないと、事業承継後に会社の業績が低下する原因となります。経営者が直接後継者に関与し、時間をかけて丁寧に引き継ぐことが必要です。
事業承継の方法は、主に3つの種類に分けられます。
それぞれの方法に特徴があり、会社の状況や目的によって適した選択肢は変わってきます。
親族内承継は、経営者の子どもや配偶者などの親族に事業を引き継ぐ方法です。
親族内承継のメリットは、早い段階から後継者としての教育を始めやすく、経営理念や社風を理解してもらいやすい点です。他の従業員や取引先からも、後継者として受け入れられやすい傾向があります。
一方で、相続人が複数いる場合は、財産の分配を巡ってトラブルに発展するリスクもあり、相続税対策も必要です。
従業員への承継は、社内の役員や従業員の中から後継者を選ぶ方法です。
長年会社に勤務しているため、事業内容や経営理念に精通しており、経営の引き継ぎがスムーズに進みやすいのがメリットです。
しかし、資金面が課題で、後継者となる従業員に、会社の株式を買い取るための十分な資金力がないケースが多く、資金調達が承継の障壁となる可能性があります。
M&Aは、社外の第三者である他の企業や個人に会社を売却する形で事業承継を行う方法です。
M&Aのメリットは、広く候補先を探せるため、自社をさらに成長させてくれる最適なパートナーを見つけられる可能性がある点です。現経営者は会社売却によってまとまった資金を得ることができ、引退後の生活資金などにあてられます。
ただし、希望する条件に合う買い手がすぐに見つかるとは限らず、経営理念や企業文化の維持が難しくなる場合もあります。
ここでは、事業承継の一般的な流れを5つのステップで解説します。
上記のステップを参考に、計画を立てていきましょう。
まずは、会社の現状を客観的かつ正確に把握しましょう。
会社の収益力や資産・負債の状況などの財務面を分析します。
自社株式の評価額を算出し、相続税や贈与税がどのくらいかかるのか、税務リスクの確認も必要です。現状分析を通じて、事業承継の課題が明確になり、後継者がいない場合はM&Aの選択肢も検討する必要が出てきます。
会社の現状と課題を把握したら、次に後継者の選定と育成に取り組みます。
親族、社内の役員・従業員などの中から、会社の将来を託せる人物を見極めます。
候補者が決まったら、すぐに経営を任せるのではなく、長期的な育成計画を立てましょう。ジョブローテーションで社内の全部門を経験させたり、外部の研修に参加させたりしながら、段階的に経営者としての知識と経験を積ませていきます。
事業承継のマッチング支援サイトに関して、詳しく知りたい方は以下の記事を参考にしてください。
関連記事:事業承継におすすめマッチング支援サイト11選 | 公的機関や選び方も解説【2025年最新版】
後継者候補が決まったら、具体的な事業承継計画を策定しましょう。計画には、引き継ぎ方法の詳細に盛り込みます。
また、国や自治体には事業承継を支援するためのさまざまな制度が存在します。事業承継税制や事業承継税制などを活用すれば、税負担や資金負担を軽減できるしょう。
事業承継計画が固まったら、社内外の関係者に内容を伝えます。
早すぎると社内に動揺が広がる可能性がありますし、遅すぎると関係者の不信感を招きかねません。
まずは、親族や役員などの近しい関係者から段階的に説明を始め、全従業員や主要な取引先、金融機関へと伝えていくのが一般的です。
計画に沿って、いよいよ事業承継を実行します。
まずは、株式の譲渡や贈与など、経営権を移転するための法的な手続きを行います。
承継後も、前経営者が相談役として一定期間会社に残り、後継者をサポートする「伴走期間」を設けると、スムーズな経営移行につながります。
事業承継を成功させるためには、押さえておくべきポイントがいくつかあります。
上記のポイントを事前に理解し、準備しておくと、円滑な事業承継の実現につながります。
事業承継では、株式や事業用資産を後継者に移転する際に、多額の税金が発生する点に注意しておきましょう。
親族内承継で株式を贈与すれば「贈与税」、相続すれば「相続税」がかかり、税率は最大で55%になります。従業員への承継やM&Aで株式を売却する場合は、現経営者に譲渡所得税がかかります。
上記の税負担を軽減するためには、「事業承継税制」の特例を活用するのが有効です。一定の要件を満たせば、贈与税や相続税の納税が猶予または免除されます。
事業承継は、法的なトラブルが発生しやすい場面でもあります。親族内承継では、後継者以外の相続人との間で、財産の分配を巡る「遺産分割トラブル」が起こる可能性があります。
上記を防ぐためには、経営者が生前に「遺言書」を作成しておくのが有効です。
また、株式が複数の株主に分散していると、経営権が不安定になり、少数株主から経営介入されたり、訴訟を起こされたりするリスクがあります。M&Aの場合は、契約内容が曖昧だと後でトラブルになるため、弁護士などの専門家による契約書の作成が必要です。
事業承継は、税務、法務など、多岐にわたる専門知識が必要です。経営者一人ですべてを抱え込むのは困難であり、リスクもともないます。
早い段階から事業承継に詳しい専門家に相談するのが有効です。税理士や弁護士など、それぞれの専門家がチームとなってサポートしてくれます。
また、商工会議所や事業承継・引継ぎ支援センターなどの公的機関では、無料で相談に乗ってくれる場合もあります。専門家の客観的な視点を取り入れることで、自社だけでは気付かなかった課題やリスクを発見し、円滑な承継を実現可能です。
ここでは、事業承継で活用できる制度を3つ紹介します。
上記の制度をうまく活用すると、費用負担を抑えながら事業承継を進めることが可能です。
「事業承継・引継ぎ支援センター」は、中小企業庁が全国47都道府県に設置している公的な相談窓口です。
事業承継に関する悩みであれば、親族内承継からM&Aまで、無料で専門家に相談が可能です。センターには、事業承継に精通したコーディネーターやアドバイザーが常駐しており、課題の整理から解決策の提案まで、親身にサポートしてくれます。
また、後継者を探している企業と、事業を譲り受けたい起業家や企業とを結びつける「後継者人材バンク」などのマッチング支援も行っています。
日本政策金融公庫が2020年から実施している、無料の事業承継マッチング支援制度です。
事業承継マッチング支制度は、後継者不在で事業の譲渡を考えている企業と、創業や事業拡大を目指して事業を譲り受けたい企業や個人とを引き合わせるサービスです。
初期段階では、お互いの企業名などを伏せた匿名の情報で相手を探すため、安心して利用できます。ただし、公庫は交渉や契約の仲介は行わないため、当事者間で話を進めるか、必要に応じて民間の専門家へ引き継ぐ形になります。
「事業承継・M&A補助金」は、事業承継やM&Aをきっかけに、新たな挑戦を行う中小企業を支援するための補助金制度です。
事業承継・M&A補助金は、M&Aの際に専門家に支払う仲介手数料やデューデリジェンス費用など、幅広い経費が対象となります。
補助の対象となる事業類型や補助率は公募回ごとに異なりますが、賃上げなどの要件を満たすと補助上限が引き上げられる特例もあります。
参照:事業承継・M&A補助金
事業承継では「人・資産・知的資産」の3つの要素を引き継ぐことが必要です。本記事では、承継方法や進め方、税金対策や活用できる支援制度まで詳しく解説しました。
事業承継に関して、不安や迷いがある場合は、早めに専門家に相談するのも一つの方法です。
StockSun株式会社には、事業承継やM&Aに詳しい専門家が多数在籍しています。
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